/ I Stand Alone ( Anti / 2006 )
御歳75歳のホーボー歌手、ランブリン・ジャック・エリオット。これは昨年、ひっそりと7年ぶりに出されたオリジナル盤。ジャックはディランの師匠格として知られているが、個人的には昨春公開された好ドキュメンタリー『No Direction Home』(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20060211)のサントラに収録されたジャックとのデュエット版”Mr.Tambourine Man”が聴けたことでジャック探求は一仕事終えた感もあった。しかし、つい先日エリック・フォン・シュミットが亡くなったこともあり、ふと昨年買ったまま忘れていたジャック盤を取り出した次第。
とにかく16曲、32分間しかない(たった19秒と言う高田渡並の曲もアリ)が、人間国宝級の名演。どの曲が良いとか言う次元を超越。そこにいてくれればそれだけで良いと言う。タイトルも『I Stand Alone』だし。とは言えバンドが入ったものも5曲。バンドにはレッチリのFleaがベースで参加。バンドものもギターとドブロがカナリ、ゴキゲンです。他は基本的には生々しいくらいの弾き語り。ピッキングも滑らか。声も味わい深い。
ところでこの盤を出してる「Anti」って、トム・ウェイツ、ニック・ケイブ、ダニエル・ラノア、ジョー・ヘンリー、マリアンヌ・フェイスフルなんかが現在在籍しているレーベル。他にはソロモン・バークやマール・ハガードと言った巨人もいますんで申し分ナシ。
ロス・ロボス David Hidalgoのアコーディオンが入ったM-2”Arthritis Blues”、ホーギー・カーマイケルのM-6”Hong Kong Blues”(細野さんも演ってます)、ルシンダ・ウィリアムス姉御とのデュエットM-9”Careless Darling”(アーネスト・タブ曲)、ディランな印象のあるトラッドM-15”Honey ,Where You Been So Long”なんかが耳に残る。カーター・ファミリー、シスコ・ヒューストン曲も含む。そうそう、ラストの語りモノM-16”Woody’s Last Ride”はウディ・ガスリーとの最後の思い出を90秒で。アンビエントな味付けがラストに妙な感傷を残す。
死ぬ前のジョニー・キャッシュのアメリカンレコーディング四部作なんかを思い出しつつ。ちなみにグラミーを取った(ほぼ功労賞?)1994年作に次ぐ1997年の『Friends of Mine』(アーロ・ガスリー、ピーター・ローワン、ロザリー・ソレルズ、トム・ウェイツ、エミルー・ハリス&ナンシー・グリフィス、ジェリー・ジェフ・ウォーカー、ガイ・クラーク、ボブ・ウェア参加)は地味ながら必聴!