/ A Stranger Here ( Epitaph / 2009 )
ランブリン・ジャック・エリオットの新作が国内盤で出るなんて。全くビックリしてしまう。前作『I Stand Alone』(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20070207)は日本盤は出なかった。本作はリーマン・ショックが世界恐慌の再来と騒がれたアメリカのこのタイミングで30年代のブルーズをカバーした盤。初期ディランのアイドルだった彼も既に78歳。生ける伝説というに相応しい人物。1995年にグラミーを獲って以来、新たなピークを迎えた感もある。
それで、本作のプロデューサーはジョー・ヘンリー。ベテランを土臭く復活させるのに長けた人。、ディランと被るゲストとしてロス・ロボスのデヴィッド・ヒダルゴが参加していたり、ヴァン・ダイク・パークスの名前を見つけられたりと、弾き語り一辺倒ではない。
例のブルーズ・ムーヴィーのタイトルにもなったM-4“Soul Of A Man”(ブラインド・ウィリー・ジョンスン)、人間のソウルは何かと問い続けるエリオットのブルーズ・フィールに圧倒される。ミシシッピ・ジョン・ハートのM-5”Richland Woman Blues”はいつものエリオット節。そしてアルバム・タイトルに詩の一節が使われたM-7”New Stranger Blues”は私がHPを作らせて貰っているブルーズメン、Broom Duster KANもレコーディングしている大好きな曲。居場所が見つからない、ってのは人間が持ち続けざるを得ない感覚なのかもなと思う。
さて、プロデューサーのジョーはエリオットがウディ・ガスリーを歌った名盤『Ramblin Elliott Sings The Songs of Woody Guthrie』に早いうちに触れて衝撃を受けたらしい。
フォークものも最近改めて聴きなおそうと思っていて、今年手に入れた英トピック・レコードの7枚組ボックス『Three Score & Ten』やブロードサイド誌掲載楽曲の名編集盤『The Best of Broadside 1962-1988』辺りを取り出している。