/ Tails of the City ( Lovenotes / 2004 )
元フィフス・アベニュー・バンドのマレイ・ウェインストックの犬曲集。12曲あくまで犬ずくしです。とりわけ犬を飼っているわけでもない私も、物言うワンちゃんの顔が思い浮かぶ乙な仕上がり。マレイさん初のソロアルバムでもある。
全曲マレイの作だが、ボーカルはそれぞれ違っている。何と言ってもM-2”Dog Day Afternoon”の出来がダントツ!リード・ボーカルはNRBQよりジョーイ・スパンピナート!何しろジョン・セバスチャンの最高にグッドタイミーなハーモニカに合わせて、彼の”Welcome Back”を思い出させてくれるホノボノメロディが流れ出す辺り、まさにグリニッジビレッジのマジックが再現!しかもギターはジョン・セバスチャンとピーター・ゴールウェイの共演!とまるで夢のよう。。その他もマレイの作品はとても彩り豊かなもの。冒頭のレゲエ風M-1 ”Big Dog Need More Food”(Vo.ジョージ・ジェイムス)、ニューオーリンズ風味M-3 ”Dixie Dog”(Voは本物ドクター・ジョン)、R&BっぽいM-4”Chase That Ball”(Vo.フィービ・スノウ)、B.B.キングっぽいブルーズM-8”Dog About Town”(Vo.ジョー・リン・ターナー)、ゴスペルっぽく意外と良いM-10”Gimme That Bone”(Vo.ケイト・マクニグル)と多彩なゲスト陣の持ち味が十分に活かされている。さらに、自身がボーカルをとる楽曲ではハワイ風味のM-6”Big Kahuna”がなんだか大滝詠一 ”ナイアガラ・ムーン”を思わせる雰囲気でなかなか。あと、M-11”Popcorn Paws”はなぜかマレイのボーカルが、80年代のソフト&メロウなビル・ウィザーズに似てます。なぜか音もそれっぽく、なんとも器用。でも、この盤、音にだまされて聴いてしまうが、全般的に結構歌詞は笑えます。”ホネをくれ!”とかね。何しろ犬ですから。
Murray Weinstockはいまだグリニッジヴィレッジのコネクションを活かしてか、元マジシャンズのゲイリー・ボナー(タートルズの”Happy Together”の作者ですね)と共に、元ジェイ&ザ・アメリカンズのケニー・ヴァンス主宰のアカペラグループ、プラノトーンズの諸作(『Looking For An Echo』や『Live And Out Of This World』)でも活躍中。こちらも必聴の出来!