/ the wonderground ( BoyMeetsGirl Music / 2003 )
ボーイ・ミーツ・ガール!彼らがまだ活動していたとは!って小室哲哉ではありません、念のため。ボーイ・ミーツ・ガールはジョージ・メリル、シャノン・ルビカムの夫婦ソングライターコンビ。ホイットニー・ヒューストンの全米No.1ヒットを2曲(1985年の”How Will I Know[恋は手さぐり]”と1987年の”I Wanna Dance With Somebody (Who Loves me)[すてきなサムバディ]”)を書き下ろし、自身も1988年に放った”Waiting For A Star To Fall”が全米No.5のヒットを記録。ポップスの王道と言える美メロにAOR的洗練を加えたクオリティの高い楽曲群に日本でも未だファンが多い。とはいえ1st『Boy Meets Girl』(Thom Bellとの共作含む)はLPのみ、2nd『Reel Life』(アリフ・マーディンProduce)は辛うじてCDで入手可能なものの、3rdのオクラ入りによってその後消息不明となっていたわけで、既発2枚を大事に聴き続けていたファンも多かろうと思う。
しかし!たまたまネットで検索していたら、現在BoyMeetsGirl Musicなるユニット名で活動を続けていることが判明!(http://boymeetsgirlmusic.com)しかもリマスターCD化された1stに加え、オクラ入りの1991年の3rd『New Dream』、そして2002年の新作自主盤までサイト販売していたのだ。もう速攻でペイパル通じ振り込み完了。すると、なんと当のシャノン・ルビカムさんからメールが!...そして待つこと一週間、なんとシャノン&ジョージのサインとレターまで付けて、CDを送ってくれたのだ!!感動!!夫妻の住所はビバリーヒルズかー、なんて住所まで確認してしまった。
まあそんなこんなの2003年の新作『Wonderground』はやはり曲が良い!寡作な彼らと言うこともあるが、バラードからキラキラしたポップスまで珠玉の楽曲をとにかく耳馴染みの良い王道の音で聴かせる。バラードの名手Diane WarrenやDavid Fosterの音作りがいまだにそうであるように、80年代的な良心を感じる。安心感ですね。とはいえ音は80年代の諸作よりも幾分かそぎ落とされ、アクースティックな味わいも。かといって声の衰えは全く無い。Jewelに歌って欲しいM-1 “Aah Song”に始まり、Peter Ceteraの近作『Another Perfect World』に近い音作りのM-2 “This Chronic Pain”、80年代な懐かしさも感じさせるM-3”Climbing”、そしてシャノンのコーラスが瑞々しいM-4”My Desire”辺りはタマラナイ。タイトル曲M-5は幻想的な感じだが、サビのメロなどやはり職人芸か。ホーンアレンジが粋なM-8”Birds Of A Feather”なんかもいい。シンディ・ローパーの”Time After Time”を書いたRob HymanがいたThe Hootersなんかを思い出すM-9”Second Chance”はマンドリンも隠し味になっているバラード。シャノンのキュートなボーカルが光るポップなM-10”Don’t Remind Me”(ユーミンの声みたいに聴こえるリフレインがある)を挟んでラストはアクースティックな”Sacred Heart”。今までにない音だが、ジョージの抑制された歌声がいい。
オクラ入りとなった『New Dream』はPaul Simonらを手がけたPhil Romaneもプロデュース参加し、Bootsy Collinsも手を貸している。絶対リリース寸前まで行っていただろうことはジャケや歌詞カードのアートワークまで完成していることからもわかる。ヒット性十分の"Bird In Hand"や流麗なバラード"Boy On My Mind"を含み、なぜリリースされなかったのか全くもって不思議な素晴らしい出来。
本当に、素敵な音楽にまた出会えて嬉しく思う。
P.S.早速シャノンさんがこのHPを覗いてくれたとのコト。感激。今ライブ活動は行っていない模様。でもまた再開した折には支援しつづけてくれた日本に行くでしょう、と丁寧なお返事いただきました。その日が来るまで待ち続けます!