/ Walking On Ice ( Village Green / 1987)
本日仕事帰りに高田馬場をふらっと訪れた折、あるレコ屋との驚きの出会いがあった。見慣れない一軒があるなあと思って入ってみると、昔懐かしい中古レコード屋の趣き。しかも普通なら1000円前後のロック〜SSWの名盤の類が500円と安い。また、洋邦ロックの帯付も市場価格より安く、しかもディスプレイされたレア盤も目を引くマニアックな品揃え。鼻息荒くレジの男性に聞いてみると、なんと、一旦店を閉めていたという「レコーズ・ハリー」が復活していたというのでビックリ!しかも脱サラしたというスタッフの飯塚さんはじめ、数名の有志が自前のレコード持ち出しで店を存続させているというから素晴らしい!高田馬場は、富士レコード社分家の「タイム」、さらに「DISC FUN」「マッシュ」等老舗レコード屋で知られていたが、「マッシュ」は神楽坂に移転してしまったし、インターネットに依存した店舗の幾つかは既に潰れてしまった。「このままでは高田馬場の音楽文化が死滅してしまう」という危機感から店を存続させることを決めたという飯塚さん。そこまで言わしめた背景には、自身も重度のコレクターであるという彼が長年客としてお世話になってきた「タイム」の社長が、なんと、昨年末惜しくも亡くなられたことがあったという(私自身初めて知らされ、驚きました…)。
とにかくレコーズ・ハリー、お茶を飲みに行くような感覚で、話したりレコを聴いたり出来るあったかい雰囲気は「ユニオン」なんかでは味わえないもの。最近こういう店は少なくなってきたので、応援していきたい。インターネットは使わない、という一途な拘りもいい。最近編集部が独立して初めての『レコードマップ2006』が刊行されたが、編集長じきじき店を訪れ、紹介文を書いている。池袋の名店「セブンティーズロック」(ネットオンリーになるらしい)店長のインタビューも掲載されているが、この「レコーズ・ハリー」再建に店長も関わったようだ。気難しいオヤジが座っていて、馴染みになるまで足繁く通わなくちゃなんない老舗の古本屋みたいな雰囲気の中古レコード屋、時代の流れからすれば消えていくんだろうが、意志を受け継いだ人たちが、中古レコード屋の「匂い」みたいなものを残していってくれるのはただただ嬉しいことだ。
レコーズ・ハリー 〒169-0075 新宿区高田馬場4-10-15 助川ビル1F
TEL 03-3365-0097
ということで購入したのはJonathan Edwards『Sailboat』と、Peter GallwayプロデュースのDevonsquare『Walking On Ice』(1987)の2枚。Jonathanは次回紹介するとして、Devonsquareの方、Stephen Stillsが参加した『Bye Bye Route 66』(1991)も悪くなかったが、Peter Gallwayの”Chinalight”や、Larry John McNallyの”Just Like Paradise”のカバーが入っていたりする分、『Walking On Ice』に魅力を感じた。オリジナルメンバーのHerb Ludwigは60年代から活動する古株。Tom Deanはソロ活動もしているという。紅一点のAlana McDonaldは澄んだ歌声で3人のハモもきれい。音はプロデューサーPeter自身の90年代の作と同様。シンセも使われているが、嫌味な感じはしない。当時Devonsquareと共に「フォークンロール」を標榜していたAztec Two-Stepの面々も参加している。