/The Winds Of Alamar (United Artist 683 /1977)
ジャケットにはむさくるしい髭面。グループ名がイグアナ、ということで全く期待が出来ないが、素晴らしいアコースティックグルーヴ。A-1"Dream Song"はアコギにプリプリしたベースとペダルスティールが絡む冒頭から、ジャケットからは想像も出来ないメロウな音粒が。CSN&Yというよりアメリカばりの3声コーラスがなんとも心地よい。A-2 "Sailing Ships"もアコギ主体の繊細な一曲。よく見ればナッシュビル録音。B-1"Your Love"もアコースティックギターのカッティングとハーモニクスが美しい。コーラスも見事で当時のハワイ系AORの爽やかさを持つ。とはいえ後半ではコーラスも力強くなり、バンドもロックのインプロヴィゼーションを見せるあたり、耳馴染みの良いFM向けMORには収まらないぞ、という意気込みも。ポップなカントリーロックB-2 "Happy One-Sad One"などは、全篇にわたる3声のコーラスが美しく、Timothy Schmit 在籍時のPocoを思わせる見事な出来。A-1といいこの曲といい、Don Falkの作品はまとまりがよい。このグループのメンバー、Arthur Bod、Don Falk、Shaw Hayes、Budge Witherspoonの書く曲はどれも薄口でありながら、コーラスと相俟ってどれも標準以上。なのだが、楽曲をAmericaやPocoのようなシングルヒット狙いのまとまった構成にせず、後半にうねるようなソロを入れたりしてしまうあたりのロック魂が敗因なのか。