/ Born With A Smile (Pip 6818B /1976)
ジャケットの赤ら顔のアメリカ親父を見てティーンアイドルのBobby Rydellであるとわかる人がどれだけいるのか知らないが、これは70年代に入ってからのカムバック作。ヴァラエティに富んだサウンド、を謳っているが、その実ロック・ディスコ・ヴォードビル・レゲエ・ポップ・バラッド・R&Bを雑食的に混ぜ込んだ欲張り盤。余りにもとっちらかっていて評価が困難だが、なかなかだと思わせるのは、Billy Joelがデビュー盤でリリカルに聴かせたA-3 “Tommorw is Today”。Billyのバージョンをなぞっているが、感情を抑えたなかなかの歌唱でBobbyを見直す。その他はMama Cassの歌で知られるMann-WeilのB-2 ”It’s Getting Better”が目立つ。やはりいい曲。70年代初頭MORの音にアダプトされているが、青春ポップス風で良い。とはいえこの復帰作、当然Neil SedakaやPaul Ankaほど充実した成果を残せなかった。1960年のヒット曲"Sway"、さらに"Wild One"のディスコ版(それぞれB-1、A-2)といった過去楽曲の安易な再演が実に冴えない。ちなみに本作、デビュー間もないPatti Austinのコーラス参加もあり。