一足早く、クリスマスの気分に。フランキー・ヴァリの新作ホリデイ・アルバム『‘Tis the Seasons』を。「クリスマスの季節がやって来た!」ってなタイトルだけれど、もちろんフォー・「シーズン」ズを掛けている。新作アルバムとしては2007年の『Romancing the '60s』(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20071014)ぶりかな。今年から来年にかけて、フォー・シーズンズのツアーもあるということで、現役としての活動が嬉しい。ジャージー・ボーイズの大成功ですっかり生ける伝説と化している。
とはいえ御歳82歳ですから、さすがに往時の力強さは少し失われている感じもある。それでも甲高い声色だけでファンなら失禁レベルと思われます。74歳のボブ・ゴーディオのプロデュースも嬉しい。すっかり円熟しきった音かと思いきや、ゴーディオとブレア・マスターズのキーボードで現代的でフレッシュな音作りになっており驚いた!マスタリングはテッド・ジェンセンですよ。コーラスには現フォー・シーズンズも参加。冒頭とラスト、Joy To The World/Do You Hear What I HearのメドレーとWe Wish You A Merry Christmasなんかは打ち込みも入れつつ新鮮だった。ブレアはナッシュビルのスタジオ・ミュージシャンで、ガース・ブルックス、トリーシャ・イヤウッド、ケニー・ロジャースからピーター・フランプトン、メガデスまでも手がけている人。Do You Hear What I Hearは好きな曲ですね。We Are The WorldのBメロはたぶんこの曲のBメロを無意識に引用したんじゃないかな。この辺がWe Are The Worldにホーリーな感じを生み出している要素になっていると思われる。あと、フォー・シーズンズ風のアレンジを取り入れたFrosty The Snowmanも堪らないし。クリスマスR&Bソングの定番Merry Christmas Babyではジェフ・ベックが客演。ジェフのギターをそんなに上げていないのは、トータルの雰囲気を考えると正解。Have Yourself A Merry Little Christmasは伸びやかに歌い上げており、名唱だった。ライトなソウル感覚を漂わせたWhat Are You Doing New Year’s Eveは山達ファンにも訴えそう。
思い出してフォー・シーズンズのクリスマス・アルバムを取り出してみると、The Chiristmas SongやWhite Christmas、Joy To The World、We Wish You A Merry Christmasが今回のアルバムと被っていることに気がついた。再演だったわけですね。そう言えば、西のビーチ・ボーイズ、東のフォー・シーズンズという言葉があったけれど(East Meets Westとか言って共演もしてました)、確立されたお家芸的サウンドといい、いまだに双璧だなと。声に着目すると、マイク・ラブの喉でこねくって歌う感じとヴァリが被る部分もある気が。もちろんヴァリのほうが力量としては上だけれど。