/ 若い加藤和彦のように( EMIミュージックジャパン / 2013 )
レコ買いは続きつつも、こちらにアップする余裕がないというそんな日々。新譜も面白いモノが色々出ていて、届く順に聴いている。今日はフォークルことザ・フォーク・クルセダーズ(第4次の再結成)の新譜を。レコード業界を取り巻く状況の悪化に加えて、やっぱり団塊世代のフェイドアウトを感じさせるプロモーションのされなさ、でしょう。悪くない内容ながら余り話題になされない。これが『パッチギ』公開前後の約10年前だったらこうでもなかったんだろうけれど。北山修(きたやまおさむ)ももう66歳。大分オリジナルメンバーより年下だと思ってきたアルフィー坂崎幸之助も58歳ということで時の流れを感じてしまう。まあ自ら命を絶った加藤和彦不在の喪失感が一番の理由であることは間違いないでしょう。
なんでもユニヴァーサルに経営統合されるEMIミュージック最後のリリース盤らしい。永遠のブランド「東芝EMI」がなくなるというのも、永らく音楽を聴き続けてきたファンにとっては衝撃でしょう。フォークルといえばEMI、キャピトルでしたからね〜そういや最近”帰って来たヨッパライ”のアメリカ盤というのを見つけてビックリした。
さて、中身はというと加藤和彦のCMオンリーの未発表曲をフォークル版として仕上げた”手と手 手と手”のみが加藤のボーカル入り。それ以外はギター&ボーカルの坂崎中心にところどころ北山のウマヘタ声が載るという、加藤和彦トリビュート盤。個人的には坂崎幸之助、初のソロ・アルバムという風に捉えている。吉田拓郎、かぐや姫にはじまり、本人より本人らしいコピーを身上としてきた坂崎さんの集大成でしょう。アレンジもフィル・スペクター風”花の香りに”にCSN風”コブのない駱駝”、そしてS&Gの”America”風”家をつくるなら”とか、いかにも加藤さんがやりそうなアレンジで坂崎さんが仕上げていて。”オーブル街”なんか、加藤さんの声かと思いました。何を隠そうわたくし、坂崎さんに憧れて音楽、ギターを始めたような所がありますから、この盤は堪らなくて。
加藤さん存命時の再結成ライブや和幸『ひっぴいえんど』で取り上げていた曲もあるので、またか、とも思いきや、意外と新鮮に聞こえる。”あの素晴らしい愛をもう一度”はアレンジで。しかしそれにしても、”イムジン河”が当たり前のように聴ける、良い時代になったものだ。
フォークルのファンにとっては最後まで気になるのが、はしだのりひこさんのこと。最近活動をお見かけしないけれど。坂崎さんも複雑なんじゃないかな。加藤さんとか北山さんは、売れるためにいれたメンバー、みたいなドライな感情があったように思うし。はしださんも、そんな強い自尊心があったのかもしれないけれど、本当のことを言うと、はしださんを加えた再結成を見たかった。叶わぬ夢ですが、ね。
追悼・加藤和彦↓
http://d.hatena.ne.jp/markrock/20091018
ロック世代の音楽の「死」と「歌の力」再考↓
http://d.hatena.ne.jp/markrock/20100307