/ Same ( Ode / 1971 )
ロッキンオン、と言うと個人的には中身のフォントが嫌い、という理由で全く興味の無い雑誌の内の1つなのだが、清志郎追悼号は買いました。初めてでこれが最後となるであろうロッキンオン購入。まあRCと渋谷の仲を考えても名編集だ、とコレばかりは思う。
さて、メリー・クレイトンのOdeからの3枚がCD化された。コレは待望、という方も多いのでは。LPでは近年そこそこの値がついていたし。この中で1枚選ぶとすればこの2枚目か。プロデュースはもちろんLou Adler。71年リリースと言う時代から考えるといわゆるニューソウルという括りになるのだろうけれど。Bill WithersやLeon Wareのカバーも1曲ずつ入っているし。白が黒に迫った盤も多くあるが、こちらは黒が白に迫っている出来が素晴らしい。何しろ冒頭A-1が”Southern Man”なんだから。南部の人種差別を告発したニール・ヤングの名曲をメリーが歌うんだから説得力がないはずがない。演奏がまた素晴らしく、ギターのDavid T.WalkerとベースのWilton Felderは不動。そこにキーボードのBilly Preston、Joe Sample、Jerry Petersなんかが絡むのだから堪らない。A-2”Walk On In”、A-3”After All This Time”、B-2”Same Old Story”の3曲にはOdeのレーベルメイトであるCarole Kingが楽曲提供および演奏で参加。A-2はキャロルのデモをなぞっていることが声色からも良く判る。個人的にはお気に入り。この3曲は裏『MUSIC』、裏『Fantasy』と言った感覚で聴いてしまう。M-5”Song For You”のカバーは本盤の親しみやすさを高めている。ジャジーなテイストが良い。Billy Prestonらしいゴスペル・ライクなA-5”Sho’Nuff”は一番メリーのヴォーカルに似合っている。B-1”Steamroller”はElvisもカバーしたJT楽曲。ヒットした『ダーティ・ダンシング』サントラのライブ盤でMerryが歌っていた。ちなみにその盤、オールディーズ・リメイク風で悪くない。
まあでもキャロルの3曲+Southern Manに尽きる盤という気もした。