/ キープ・オン・ライジング チェンジ・ザ・ストリーム ( Mighty Guy / 2007 )
スカパラとの共演なんてのもかつてはあったけれど、リズム歌謡もので90年代以降レスペクトも盛んな小林旭。2007年のオリジナル・アルバムは全編THE BOOMの小林孝至がアレンジを手がけ、ロックバンドを従えた意欲作。なんか出ていたことには気付いていたけど、今の今まで全くスルーしていた。
とにかく未聴の方は初めて聴くM-1”朝日のあたる家”に圧倒されるはず。言わずと知れた”House of the Rising Sun”なわけだけど、声を振り絞って歌う絶唱・名唱!!コレ1曲で買いです。M-10にはアコギ一本で聴かせるミックスをボーナス収録している。アキラ自作のM-2”折紙人生”もバンドアレンジでより新鮮に響く。編曲には森園勝敏も加わる。リメイクもまた良し、でレゲエビートなM-3”ダンチョネ節”、M-5”ダイナマイトが百五十屯”あたりは堪らない。M-5にはHEAT WAVEの山口洋がギター参加。ところでダンチョネは“断腸”の思いから来ているようですな。“歌謡曲”なるものは、“日本的”と表現されることが多いけれど、日本の音階に沿ったものはさほど多くない。むしろヨーロッパ的なエキゾティシズムを感じさせる音楽なのだから、ロックバンドのアレンジで色々遊べるわけで、そうした意味では面白い試みと思えた。スカっぽいM-4”アキラの人生学校part1”も最高。三線まで入ってね!阿久悠・鈴木キサブローコンビの新演歌M-6”あれから”も沁みた。オーソドックスな歌謡演歌M-7”風の旅人”もシンセのアレンジで旧さを覆い隠す。ラストはジャパニーズ・スタンダードM-8”琵琶湖周航の歌”。まあトニカクM-1”朝日のあたる家”ですよ。民謡歌手にロックを歌わせた“イエローサブマリン音頭”ほどのコミック性は全く無いけれど、この異種格闘技戦に見られる圧倒的な歌唱力は、楽曲の魂を呼び覚ますものと思い知らされる好例!