いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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 Various Artists

markrock2013-06-14

/ 〜Quiet About It〜 A Tribute To Jesse Winchester( Mailboat MBD 7000 / 2012 )

昨年こっそりリリースされていた豪華アーティスト参加のジェシ・ウィンチェスター・トリビュート盤『〜Quiet About It〜 A Tribute To Jesse Winchester』。実に地味なリリースっぷりがなんともこの人らしいな、と思った。ジャケを見ると、晩年の高田渡のような容姿でアコギを抱えて。しかもモノクロ。なんて控えめなんだろう、と思ってしまう。


アンペックスからリリースされた1970年のファーストがザ・バンドのロビー・ロバートソン・プロデュースということで話題をさらってから、キャリアは今年で43年!語り部の如くイマジネーションをかき立てるリリックと土の匂いのするルーツ・サウンドシンガー・ソングライター時代と絶妙に呼応し、1970年代後半まで玄人向けする渋好みの良作を残したくれた。そのコマーシャリズムに背を向けるような地味さというものは、徴兵から逃れるべくカナダに渡り(だからこそロビーと出会えた!)、しばらく本国に戻れなかったから、という理由だけではないだろう。70年代後半、誰もがなびいたAORに色目を見せなかったことからも窺えるように、派手さを好まないキャリアだったように思うのだ。そしてブルーグラスのレコードで知られるシュガー・ヒルから佳作『Humour Me』(1988)、『Gentleman of Leisure』(1999)を忘れた頃にリリースしたこともあった。


そんな地道なキャリアながら、書き残した楽曲はエミルー・ハリス、パティ・ペイジ、アン・マレー、エヴァリー・ブラザーズ、ウィルソン・ピケットニコレット・ラーソンなど数多くのアーティストに取り上げられ、ボブ・ディランをはじめレスペクトするミュージシャンも数知れない。


本作はそんなジェシの大ファンを公言するジミー・バフェットとエルヴィス・コステロが参加。ジミーはマック・マクナリー(彼も歌っている)と共にエクゼクティブ・プロデューサーを務めている。そこで集まったミュージシャン、ジェイムス・テイラーにロザンヌ・キャッシュ、アラン・トゥーサン、ライル・ラヴェット、ルシンダ・ウィリアムス、エミルー・ハリス&ヴィンス・ギル、リトル・フィート…という目も眩むような大御所達。プロデューサーとして風格が出てきたナサニール・カンケルが手がけたライル・ラヴェットのトラック”Brand New Tennessee Waltz”(名曲!)にはナサニールの父ラス・カンケルがドラムスで参加していたり、ジミー・バフェットの”Gentleman of Leisure”にはスライド・ギターの名手サニー・ランドレスが参加していたり。そうそう、ヴィンス・ギルのトラックには、彼に曲を書いている元NRBQのアル・アンダーソンがコーラスをつけている。悪いわけがない。


個人的にウルっと来てしまったのが、アラン・トゥーサンが自身のピアノでしっとりと歌う”I Wave Bye Bye”かな。港を去り船出する一艘の船に、夢見る男の元を去っていった一人の女の子のことを思い出す。船はきっと円を描いて、帰ってくるもの。何も泣く事はない、あらん限りの幸せを願い、いまはゆっくり手を振って別れよう…なんていう歌。オリジナルは1999年のアルバム『Gentleman of Leisure』に収録されている。

1.Payday - James Taylor
2.Biloxi - Rosanne Cash
3.Gentleman of Leisure - Jimmy Buffett
4.I Wave Bye Bye - Allen Toussaint
5.Talk Memphis - Vince Gill
6.Defying Gravity - Mac McAnally
7.Brand New Tennessee Waltz - Lyle Lovett
8.Mississippi You're On My Mind - Lucinda Williams
9.Dangerous Fun - Rodney Crowell (featuring EmmyLou Harris and Vince Gill)
10.Rhumba Man - Little Feat
11.Quiet About It - Elvis Costello