/ Last Alaska Moon ( Coconut Bay / 2009 )
キャプテン・ビーフハートが亡くなっちゃったのね…谷啓とか深町純さんとか、驚きの訃報に触れた一年でした。
さて、リヴィングストン・テイラーの昨年出た新作だけど、アマゾンのレビューだったか何か忘れたけどあんまり良い評価が聞かれなかったもんだから、買ったままにしておいた。それをこの年の瀬に取り出してみたところ…全編むちゃくちゃ良いじゃないですか!涙が出そうになった。下馬評ってのは全く信用できないなぁ…
タイトル曲は確か前回の来日公演で新曲として紹介されたモノ。いつものアコギに人なつっこいヴォーカルが滑り込んで、もうなんともホッコリとした気分にさせられる。しかしなんでこんなにドキドキした気分になるんだろう。高揚感と、懐かしさと感謝で胸がいっぱいになる。何しろ彼のアルバム『Life is Good』に人生の危機を救ってもらったという実感があるから。特別な人でありすぎて、よっぽど余裕がある時しかこの新作は聴けないな、と思っている内に1年が経っていたわけで…
いつものソウル風味のミディアムから、ジャズ・テイストやブルーグラス風の作品まで、亜米利加音楽のおいしい所が詰まっている。いつもは明るくひょうきんなのに、歌い出すとナイーブでシャイさを覗かせるパーソナリティがこれまた良い!”I’m Letting The Whiskey Do My Talking”とかね。そうそう、お得意のカバーで行くと、以前も取り上げたことがあるマイケル・ジャクソンの”The Girl Is Mine”。コレは兄のジェイムス・テイラーとカーリー・サイモンとの間に生まれたミュージシャン、ベン・テイラー(リヴのおいですね)とのデュエットで。マイケル追悼の意味合いもあるのかな。
アメリカ人の空や飛行機への願望やこだわりは尋常ではないけど、ライト兄弟1903年の初飛行地を冠した”Kitty Hawk”は感動的なバラードだった。あとはこの時期だからクリスマスソング”Christmas Is Almost Here”もゴキゲン。テイラー・ファミリーの原点であるキャロライナに思慕の情を寄せる”Call Me Carolina”で幕を閉じる。傑作!