/ …That’s The Way It Is ( RCA / 1976 )
ニュースを見ていると事業仕分けなんてやってまして。しかし幾らなんでも乱暴ですな。子ども手当と高速無料化が一番金を食う、って誰しも判ってるんだけど、公約だと言われりゃ何も言えないですわな。
そんなことはさて置いて。手放しでいいなあと思えるニルスン。何を聴いてもいいなあと思ってしまう。ソングライターとしての魅力もさることながら、歌声が素晴らしい。ヨタっとしているようで、繊細で、ここぞという時は強く伸びてくる唄。もちろん酔っ払い期は辛そうなんだけど、それがまた。思えば、有能なソングライターながら”Everybody’s Talkin’”から”Without You”まで、カバーが売れると言う皮肉な成り行きで。それもまたニルスンらしい。
で、本作もカバー集。歌唄いとしての実力が試される。ジョージ・ハリスンの”That Is All”をアタマと尻尾に配置。ドリス・トロイの”Just One Look”なんかは、ビートルズとの交友が知られる彼だから、アップル繋がりの選曲と強引に言えなくも無い。アメリカのジェリー・ベックリーが作った”I Need You”は実に良い。朴訥としたベックリー版よりもドラマティックで、逃げられた男の叫びが聴こえて来る。自分は女ではないからわからないけれど、ジョン・レノンがこんな風に唄ったら母性本能をくすぐられるのかもしれない。それと、ニューマンの”Sail Away”は屈指の出来でしょう。皮肉の効いたニューマンの唄との相性は、『ニルスン・シングス・ニューマン』で証明済み。本作の”Sail Away”もかのアルバムにくっ付けて聴きたくなる。
カバーと言ったけれど、レゲエ調の”Monshine Bandit”(ダニー・クーチとの共作)、”Daylight Has Caught Me”(ドクター・ジョンとの共作)は例外。参加陣はジム・ケルトナー、クラウス・フォアマン、ドクター・ジョン、ヴァン・ダイク・パークス、デヴィッド・ペイチ、ジェイムス・ニュートン・ハワード、ジェシ・エド・デイヴィス、フレッド・タケットら。