/ 男と女 2 (Universal / 2009 )
今日たまたまテレビを見たので。森高なんて長い間お見かけしなかった。てなわけでこの盤をピックアップ。
稲垣潤一ほどの力量のあるシンガーだから、ここ長年パッとしなかったのはファンとして実に悲しい限りだったわけだけど、昨今の徳永にはじまるカバーブームの中で中西保志同様生き返ってきた。前作『男と女』(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20081207)も素晴らしかったけれど、女性シンガーと組ませると言うアイデアで既に勝利している。聴く前から良いことが判るんだもの。これならユニヴァーサルから出せるな、という。
てなわけで、今作もまったくもって抜かりない。1枚目ほどのインパクトはないけれど。良かったのを挙げると、森高千里との”雨”、岡本真夜との”真夏の夜の夢”(そう言えばブレッド&バターも歌った"あの頃のまま"をはじめユーミンものをかつて稲垣は演っていた)、沢田知可子との”夢の途中”(小田和正の"ラブストーリーは突然に"を思わせるアレンジが絶妙)、小林明子との”けんかをやめて”、遊佐未森との”フレンズ”あたりかな。”世界中の誰よりきっと”みたいなメジャー・キー全開のメガヒットものはどうも頂けない。稲垣がAOR作品で培ってきた美意識と相容れないような気がして。ラストに代表曲"クリスマス・キャロルの頃には"を広瀬香美と演っているのは、バブリー世代には来るものがあるんじゃないかな。
ウェットな声質だとどんな曲でもロマンティックに聴こえて来てしまう。4畳半フォークですら違った聴こえ方をしてきそうなことは想像に難くないわけで、まだまだアプローチ方法は一杯ありそう。