いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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2023年7月28日発売、リッチー・ヘヴンス『ミックスド・バッグ』(オールデイズレコード)の解説を寄稿しました。
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2023年8月26日(土)に『ルーツ・オブ・サイモン&ガーファンクル』の発売を記念して、西荻窪の素敵なお店「MJG」でイベントをやります。
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2023年6月30日発売、ルーツ・オブ・サイモン&ガーファンクルの選曲・解説、ジャッキー・デシャノン『ブレイキン・イット・アップ・ザ・ビートルズ・ツアー!』(オールデイズレコード)の解説を寄稿しました。
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2023年3月31日発売、スコッティ・ムーア『ザ・ギター・ザット・チェンジド・ザ・ワールド』、オールデイズ音庫『あの音にこの職人1:スコッティ・ムーア編』、ザ・キャッツ『キャッツ・アズ・キャッツ・キャン』の3枚の解説を寄稿しました。
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2023年2月24日発売、ビッグ・ボッパー『シャンティリー・レース』、フィル・フィリップス『シー・オブ・ラブ:ベスト・オブ・アーリー・イヤーズ』、チャド・アンド・ジェレミー『遠くの海岸 + キャベツと王様』の3枚の解説を寄稿しました。
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2022年12月23日発売、バディ・ホリー・アンド・ザ・クリケッツ 『ザ・バディ・ホリー・ストーリー』(オールデイズレコード)の解説を寄稿しました。
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年の瀬に…

markrock2015-12-31




えっ、もう年末なんですか、という位に年末感がない。そう感じるようになったのはここ10年くらいかな。子どもの頃にやっていた大掃除もしない。永遠の円環運動のような一年。年越しそばを作って、おせち料理を食べて、凧揚げして、年賀状書いて、みたいな儀式。おせち料理なんてのは私の母親も数年前に止めてしまったと聞いた。まあそもそも誰の犠牲のもとに作られていたのか、という。日本の伝統だとかいう人もいるけれど、重箱入りおせちになってくると、ちょっと意地悪に言えば戦後の都市の百貨店によって形成された消費文化のたかが一つだ。七五三もそうだけれど、その歴史はアメリカの歴史どころではなく浅い。それは何千年もの歴史を有する何とやらではモチロンなく、みんなでおせちを作りましょう、と前ならえであるべきライフスタイルを提示していた「戦後」という一時代−経済的成長がそれを可能にさせた−の営為なのだった。



さて、そんな「戦後」70年の今年、戦争はまだ終わっていなかった、からこその「戦後」にくさびが打たれた一年。憲法とか人文科学、とりわけ哲学や文化などという自分を形成してきた根本価値が揺らいだ一年。ある種の存立危機事態だったけれど、色んな人と対面で話す中で、むしろ何をなすべきかがよくわかったような気もする。時代はまた良い意味でも悪い意味でも繰り返し、今が悪いとするならばそれはまた良くなるということだ。



そんな中、いつもリスナーとしても作り手としても没頭し裏切られることがなかったのは音楽だった。



まず、昨年の3枚目の制作から、ラッパーのEARVINさんとお笑い芸人の雨宮シオリ犬さんの音楽活動のサポートを経て、4枚目のアルバム制作まで、プロデューサーの馬下義伸さんと密な音楽活動を行えた喜び。昨年近所の保育園のために二人で作った音頭やサンバに合わせ、無邪気な園児たちが歌い踊っているのを見て、これが音楽だったのか…と改めて気付いたり。そして4枚目のアルバムでは公私ともに長く三鷹・吉祥寺でお世話になった僧侶シンガー・ソングライターの松田亜世くんと2曲共演できたのが至福だった。出会ったのが二十歳そこそこで、その頃から役者のチビ玉さんに曲提供をしたり、バリバリ音楽をやっていた亜世くんと共演できるなんて、自分もよくここまで来られたな、なんて(笑)。そして今度はその自分が音楽を始めた時と同じくらいの歳の岡崎伽南くんとも共演できて。彼が15歳の時に初めて一緒にギターを弾いて、それからアコギをプレゼントしたなんてこともあったけれど、立派なギタリストになっていて感動した。さらに群像新人賞をとった尊敬する文芸評論家、永岡杜人先生には畏れ多い評論までライナーに寄せていただいた。自分でも気がつかなかったけれど「歌が単に娯楽や消費されるものとしてではなく、うたう人間そのものであったような時代の感覚を、彼は、からだの奥底に潜ませている」と…。やはり畏れ多いけれど…。雑誌の小山守さんや岡村詩野さんのレビューも70年代、URC、エレックというキーワードが出ていたけれど、これはもう隠しようがなかった。11月に出たニュー・アルバム『ノーツ』鈴木慶一さんの今年の10枚に選ばれたダニエル・クオンくんは忙しい中4枚連続でジャケットの素晴らしいアートワークを作ってもらい、こちらも感謝で一杯だ。タワー・レコードやディスクユニオンなど入荷していただいたショップ、ブログをリンクしていただいている芽瑠璃堂さん(トピックに取り上げていただきました)、そして何より聴いていただき感想まで寄せていただいた皆様、本当にありがとうございました。

芽瑠璃堂さんでリンクしていただいている本ブログ『愛すべき音楽よ』も細く長く続けてきたけれど、今年で80万を超える累計アクセスをいただいている。こんなマニアックなブログなのに…。そのブログで文章を発表するきっかけを与えてくれたSさんとの再会も今年後半の大きいニュースだった。学生時代、二人で通っていた加奈崎芳太郎さんがいた古井戸の3回限りの再結成。その事を書かせていただいた『極北ブログ』の文章も色々なところで反響があった。音楽を通じて時代と向き合いながら、また生きていく上での新たな仕事ができたような気がしている。



いまこれを書きながら立て続けに聴いていたのはジョン・ヴァレンティ(ジョン・リヴィグニ)がドラマー&ボーカルとして在籍していたモータウンの白人バンドPuzzle『Puzzle』とザッパのマザーズ『Over-Nite Sensation』、それにバブリーなストック・エイトキン・ウォーターマンのコンピ『The Hit Factory』。後者はLPが珍しいなと手に取ったものだけど、”Get Ready”や”Venus”の焼き直しやFerry Aid名義でポール・マッカートニー自身も参加した”Let It Be”とか、60年代サウンド(メロディ)の80年代的展開という側面があったのだと理解した。



それでは皆様、良いお年をお迎え下さい!