/ Let Me In (I’m No Stranger) (Pip 6817 /1976)
Pickwickの新録レーベルであるPipからリリースされた、遅れてきたイーグルスフォロワー。オハイオ産ウェストコーストサウンドということで無理があるかと思えば、Jack WilceやSonny Curtisの参加もありさほどではない。なんといってもタイトル曲A-1”Let Me In (I’m No Stranger)”が凄い。コード進行はもちろん、間奏のバンジョーソロといい、サビのコーラスといい、間違いなくThe Eaglesのデビュー作”Take It Easy”を下敷きにしているのだが、そこには甘酸っぱいカントリーロックの旨味が。これを90年代以降に演ったらオリジナリティと捉えられた可能性もある。Let Me In (I’m No Stranger)−僕も仲間に入れてくれ−、という遅れてきたイーグルスの純粋な想いに打たれる。この1曲だけで語ってしまうと、1976年時点ではすでに時代遅れな音だということになってしまうが、メロウなエレピが光るA-3やA-5を聴くと、Asylum時代のNed Dohenyに近い個性を持っていることがわかる。B面にはソウルっぽく迫るB-4などもあるが、マナサス風のB-3、フルートが入るB-5などの浮遊感のあるアコースティックメロウにむしろ個性を感じる。とはいえ何にしてもフォロワーっぽくなってしまうのが、余り注目されない盤となる理由か。