/ No Explanations (Atco 33-274 /1969)
Len & Judy Novyの兄妹デュオとして1965年にPrestigeから1枚のアルバムFolk Songs, Sweet and Bittersweetを残しているフォーク歌手Len Novyの唯一のソロ作。プロデュースはDavid BlueやPhil Ochsを手がけているArthur Gorson。A-1”Think About It”はEric Andersen作のフォークロックだが、Paul Harrisアレンジによるオーケストレイションも入り、盛り上がりを見せる。Paulは数曲を除きアレンジを担当している。彼は後に70年代に入るとManassasaはじめウェストコーストものでも大活躍するのだが、60年代中〜後期にはニューヨークのフォークシーンで先ほど述べたDavid Blue、Eric Andersen、さらにJim & Dean、Hedge & Donna、Tom Rushなど様々なフォークロック作にアレンジ/プレイヤーとして参加していた。Ohio Knoxのメンバーだったことでもお馴染み。曲としてはA-2、Ars NovaのWyatt Day作”Round Once Again”が目立つ。他はどうかといえば、さほど歌い手としての個性がないためウッドストックエラまで生き残れなかったLen Novyだけに、B-4”Til I Can’t Take It Anymore”などの優しいフォーク調のものに相性の良さを見せている。ちなみにA-1、Eric Andersenのオリジナル(1969年のAvalancheに収録)は同じPaul Harrisアレンジで、Len版と同じChuck Rainey、Herb Lovelleの布陣に加えEric Galeが全編ギターでアシスト。女性が去っていく悲しみを歌う冒頭からすでにその歌声は空気を変える力を持っており、もう一度考え直して − ”Think About It”− と吐露するサビまで合格点。歌い手としてもさすが。