/ Live At The Troubadour ( HEAR MUSIC / 2010 )
今更ながら、やっぱり見に行けば良かったな。なんて。でもダメだったんだな。平日のライブだったからと言う訳でもCaroleを昨年見たから、って言うこととも一寸違って。JT見ちゃったら何か目標を失うというか。何の目標だよ!って突っ込まないで下さい。そんな大げさな話じゃないけど…
懐古的かなと思ったけれど、このライブDVDを見ていたら、音楽はやっぱり良いですね、という淀川長治的な結論に達した。初めは、2010年に3年前のライブ映像は古い気もしたけれど。まあ今回のツアーのきっかけになった、しかもあの伝説的なライブハウス、トルバドールでの再会ってんだから、この映像以外あり得ないんだけど。
Carole Kingという人は、裏方が長い人だからか、実は前に出ようとしない人のようで、バンドの中で楽しそうにプレイする姿が一番似合っている。古くはThe Cityだし、Living Room Tourの時もそうだった。すっかり年齢的にはおばあちゃんなんだけど、無邪気な少女のように見えてくるから不思議だ。下を向いてピアノに向かうと、あの日のつづれおり少女そのもの!
辛酸なめ合った”The Section”のメンバーが音を奏でると、40年の時を引き戻す力がある。メンバーを迎え入れて演った1曲目がDanny Kootchの"Machine Gun Kelly"なんて。なんとも良かったなあ。当時のCaroleやThe Section、そしてJo Mamaと競演したTVでのライブ映像なんてのを見ると、結構泥臭い音を出していたものだ。The Sectionから離れた近年のJTがSteve Gaddの音に代表される洗練されたNYの音に近づいていくにつれて、消えてしまった音楽の臭気みたいなものを感じて。
この2人が70年代シンガー・ソングライターの王道を作り上げたことは疑いない。文句の付けようのないステージと選曲でまさかツアーまでやっちゃうなんて誰が想像できただろうか。お互いの年齢を考えると、最後のチャンスだったのだろう。
いちいちコメントするのは野暮なくらいの選曲だが、それぞれのソロやコーラスが熱い"It's Too Late"にしても、"Will You Still Love Me Tomorrow"でのJTのハモにしても、グッと来たなあ。お互い私生活でも色々あったけれど、そんな事がもはや超越できているようで。淀川長治的な、音楽ってやっぱり良いですね、になるのはそこなんだなと。"Smackwater Jack"なんて、Kootchのギターに背中を押されてキャロルも力んでいて、Living Room Tour より断然良かったなあ。
ソウルが隠し味になっている音楽性は、2人が認める通り、初めて演奏したときからひかれ合うものがあったようで。コレって友情なのかな?GerryのエピソードをCaroleが話すと、JTは聴きたがらないように見えるんだ。音楽的には2人が結ばれているように思えてならないのだけれど。