/ I Think It’s Gonna Rain Today ( Warner WS1731 / 1968 )
どうでもいいですが、終戦記念日にNYでウッドストックが再び開かれたようで。94年(25周年)と99年(30周年)にもありましたが。1969年から数えて40周年に当たる今年、40周年記念盤のリリースなどが相次ぎ、各種音楽雑誌で特集が組まれたりしていたけれど、ウッドストック2009、蓋を開けてみたら40万人の参加者だった69年と比べて参加者「1万5000人」ってのは酷すぎやしませんでしょうか。テン・イヤーズ・アフターやジェファーソン・エアプレイン、キャンド・ヒート、ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー、カントリー・ジョー・マクドナルドらが出たみたいだけれど、今年の中津川フォークジャンボリー同様、懐古趣味に陥ったイベントに未来はありません。日本からはスーパーフライが参加とか言って歴史に泥を塗るのはコレ限りにしていただきたい。
さて、気を取り直して本日のレビューを。コレはバド・ダシェルの盤。ジミー・ヒラードのプロデュース。
クラシックギターとウッドベースだけという静謐とした音作りの中、重々しい嗄れ声を聴かせるタイトル曲A-1” I Think It’s Gonna Rain Today”がヤハリ白眉。ご存知の通りランディ・ニューマンの名曲で、多くのカバーが存在するが、中でも早い時期のカバーだった。バドのボーカルは、割とランディのボーカルに近しいものを感じる。A-2”Et Maintenant (What Now My Love)”はフランス語で歌われるシャンソン。どうもバドはフランス生まれらしい。B-3”Au Revoir”も同様フランス語。ペギー・リーの代表曲A-3”Black Coffee”を聴いても感じられたが、こうしたスタンダードな楽曲を枯れたフォーク・サウンドで聴かせるのが彼の持ち味なのか。
バド・ダシェルは“バド&トラヴィス”“バド・ダシェル&ザ・カインズメン”でフォーク盤を多くリリースしてきた人。当時下火になってきていたモダン・フォーク・グループがその全盛期に好んで取り上げたゴードン・ライトフットのB-4”Early Morning Rain”をココでバドが取り上げているのもその残滓。
ジャック・ブレル-ロッド・マッケンのB-1”Seasons in the Sun”も好選曲。サンバタッチで。さらに、ジェシ・コリン・ヤングのB-2”Lullaby”なんかも取り上げていて、コレがまた悪くない。
当時の新進のソングライター作品からホーギー・カーマイケルのB-5”Baltimore Oriole”まで幅広く取り上げた本作。当時のレーベルメイトだったボー・ブランメルズやハーパース・ビザールらと比しても、到底時代を変える一枚にはならなかったわけだけれど、今の耳で聴けば、SSW時代への橋渡しとして、独自の存在感を示しているようにも思えるのだ。