/ Merrill 1 ( Mushroom / 1971 )
J.D.サウザーの来日。今の今まで気が付かなかったけれど、早速予約。新作に合わせた来日だが、イーグルス関連の曲も演ってほしいもの。YouTubeでは、”Doolin’ Dolton”の貴重なJD版(http://jp.youtube.com/watch?v=oPiJdlwqWqw)なんかが聴けます。さらに今日は、ガロのマークこと堀内護のライブに行ってみようかと。昨年から俄かに活動再開したわけだけど、ボーカルこと大野真澄と比して音楽活動から離れていた期間が長かっただけあって、出来はどうなのか。
そのガロで思い出したように、マッシュルーム関係のCDを聴いておりまして。今日採りあげるのはコレ。アラン・メリルのセカンド。アランは”学生街の喫茶店”などガロの作品でベースを弾いている。
アラン・メリルと言うと、ウォッカ・コリンズなどなど日本での活動を経て、アロウズを結成、その中の”I Love Rock And Roll”が後にジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツに取り上げられて全米No.1を記録したというキャリアを持っている。ヘレン・メリルの息子、ローラ・ニーロのイトコにあたるという血筋の持ち主でもある。
ファースト『ひとりぼっちの東京』やウォッカ・コリンズの『東京/ニューヨーク』はCD再発されているけれど、こちらは日本ではまだ未CD化。紹介するのはアメリカで再発された盤で、CDBabyを通じて購入できる。ジャケからしてジャパニーズ・メイドなこの作は、村井邦彦監修、ミッキー・カーティスがプロデュースを手がけている。モウリスタジオで録られたマッシュルームの隠れ名盤と言っても過言ではない。全編洋詞。アラン(ギター、ベース、キーボード)、原田裕臣(ドラムス)、ミッキー吉野(キーボード)、大野克夫(キーボード)、小坂忠(パーカッション)などといったクレジットが確認できる。
はっきり言ってかなり完成度は高い。ビートルズおよびバッドフィンガー直系のポップ・ロック。印象的なギターリフが耳に残るパワーポップM-1”Everyday All Night Stand”なんかまさにそういう楽曲。名曲ナリ。シングルカットもされている。こんな盤が日本の音楽シーンに埋もれていたなんて、アメリカのファンが目をつけるのもわかる。悲しげなコーラスフレーズが印象的なM-2”Starstruck”はポール・マッカートニーおよびニルスン的センス。小品M-4”First Love”やM-5”Movies” 、そしてラストのM-11”Tranquility”も同様。M-3”Knot Tier”はハード・ロックな作。コーラスはCSNを思わせる3声。M-6”Crazy Lady”は一転してピアノの弾き語り。コレにはいとこのローラ・ニーロを思わせる部分があるのが面白い。M-7”Policy”は”Come Together”を思わせるハード・ロック。ソフトなバラードM-8”Please Let Me Love You”を経てM-9”Know Yourself”はフォーク。同じフォークでもギャラガー&ライルに聴けるイギリス的感覚があるのが興味深い。M-10”Ferris Wheel”は初期ビートルズを思わせるミディアム。
ボーナストラックも貴重。1968年にデッカ・スタジオで録ったM-12”Jacqueline”をはじめ、ウォッカ・コリンズ以前に日本で参加した「The Lead」でアランがリード・ボーカルをとったM-13”Daydream Believer”とM-13”Hey Jude”。さらには『Alan Merrill 2』のために録ったデモM-15”The Drifter”、M-16”Long Hard Road”。『Alan Merrill 2』は結局実現しなかったのだが。
その他、アランの作品で言えば、カントリー・ソウル・アーティストの再生人Jon Tivenのバンドに参加したこともあるからか、2003年にはアーサー・アレクサンダーとオーティス・ブラックウェルのトリビュート作『Double Shot Rocks』をリリースしていて、これはなかなかに良い。さらに、CD-Rながら、キャリアを総括するベスト盤『Cupid Deranged』(2002)を出していて、コレもお勧め。CDBabyを通じて安価で入手できる(http://cdbaby.com/found?allsearch=alan+merrill&submit=search)。