/ Into White ( Columbia / 2007 )
ヨー・ソウ・ヴェイン!ってミック・ジャガーとのデュエット。鼻歌になるホドのヒット曲を出すってやっぱり凄いこと。カーリー・サイモンの新作がムチャクチャ癒される仕上がり。。何より女性にしては落ち着いた低い声が好み。元旦発売の日本語盤はM-15”Hush Little Baby / My Bonnie”のボーナストラック収録とのことでこちらを入手。ファンにはこちらがオススメ。
基本的には全編カバー中心のララバイアルバム。レコーディングはアコギ・生ピアノ中心のアクースティックで簡素な仕上がり。同じスタンダード作でも前作との違いはソコ。さらにカントリー/フォークな楽曲を取り上げている。また、元夫ジェイムス・テイラー作品を演ったり、ジェイムスとの間に設けたサリー・テイラー、ベン・テイラーの息子・娘組と共演したり、いろんな意味で“テイラーメイド”の仕上がり。まあファンもそれを求めているんでしょうけれど。
冒頭タイトル曲M-1”Into White”はキャット・スティーブンスの作。1997年作『Film Noir』でカーリーと共演したジミー・ウェッブっぽいメロにカーリーの好みを感じる。さらにジェイムスがファーストで演ったフォスターのM-2”Oh! Susanna”、ビートル・ポールのM-3”Blackbird”、サリー&ベンと共演したジェイムスのM-4”You Can Close Your Eyes”。これにはジェイムス似のベンの歌声に涙。さらにM-6”Manha De Carnaval(黒いオルフェのテーマ)”、M-7”Jamaica Farewell”、M-8”You Are My Sunshine”(結構スローで好アレンジ)、さらにジェイムスとかつてデュエットしたエヴァリーものをメドレーで(M-10”Devoted To You / All I Have To Do Is Dream”)。万全の選曲。S&Gで知られるM-11”Scarborough Fair”はマーティン・カーシー版を意識。マイナーメロに実に合う声。M-12”Over The Rainbow”は昨年カーリーとデュエットを披露したジェイムスの弟リヴもレパートリーにしている。ベン・テイラーと絶妙な共作をしたデヴィッド・ソーのM-14”I’ll Just Remember You”と言った新曲も全く違和感無く溶け込んでいる。ピアノの音色の優しさと言ったら、もう!
凡庸なスタンダード作かとタカを括ってもいたのだが、聴いてビックリ。耳に優しい統一感と時代を超えた普遍性。ナントモ上質な一品。