/ All Strung Out (WWCD-7713 /1968)
大滝詠一70年代の大傑作ナイアガラ・ムーン(Niagara Moon)のリマスターに注目が集まる今週だが、これはPhil Spectorの元でセッションマンとして活躍したNino Tempoと妹のApril StevensとのデュオのWhite Whaleにおける名作。Rev-olaからのリマスター盤にはボーナストラックが収録されていたが、改めて30分のオリジナル音源でアルバムの真価を再確認。冒頭のDavid Gates作の"You'll Be Needing Me Baby"から重厚なWall of Soundが耳に迫ってくる。これは、ロックンロール期を経て"Popsisle and Icicle"などのメロディアスな佳曲をヒットパレードに送り出していたDavid Gatesの、ある種オールディーズ的な定型をなぞりつつも緻密に練られた良い曲。そういえばDavidの1994年のカムバック作Love is Always Seventeenは素晴らしい作品だった。ちなみに、カントリー歌手Billy Deanの1998年作Real Manにはコーラスに作曲にDavidが大活躍しており、94年作と似た作風。さて、Nino & Aprilに戻るが、Jerry RiopellとNinoの共作のタイトル曲やWarren Zevon作"Follow Me"、"Sunny"のカバーを挟み"The Habit of Lovin' You"まで息着く間もなく大満足。そういえばJerry Riopellの70年代のルーツ回帰SSW作品も印象深いものだ。初めの話題に戻れば詠一&シリアの"Deep Purple"、"Whispering"も微笑ましい作り。