ロシアから荷物が届いて何だったかな、と思ったら以前e-bayで注文したスティーブ・ペリー25年ぶりの新譜だった。タイトルは『Traces』(軌跡)、いや、てか奇跡かな、と。今年10月5日リリース。『FOR THE LOVE OF STRANGE MEDICINE』が出たのは1994年。これはリアルタイムで覚えている。それ以来と言うことか。ずっと出るか出るかと言われていてリリースが延びていたもの。言わずと知れたジャーニーのボーカリストだけれど、その美声を失ったとされ再編ジャーニーにも参加せず。ただ映画にもなったけれどスティーブに最大限のレスペクトを示すフィリピン出身のアーネル・ピネダがYouTubeにアップした動画をメンバーが目にし、スティーブと全く同じ声で全盛期の楽曲を演奏することになるというマジカルな出来事もあって。
スティーブももう69歳、ハイトーンは正直もうダメかと思ったけれど、このアルバム、伸びやかな歌声が復活していてビックリした!かすれもありません。YouTubeで視聴したときはなぜか衰えを感じたんだけれど、ちゃんとオーディオとスピーカーで再生してみたところ、凄まじく良く聴こえて。当たり前だけれど、再生機器は重要。
リード・トラックの”No Erasin’”が強烈だけれど、ジャーニー全盛期の良いトコどりのような全編美メロの洪水。やばいです。ミディアムの産業ロックからバラードまで、ジャーニーのファンのツボを理解した楽曲。裏返るギリギリのいちばんスティーブらしい声域をわきまえている。唄い回しの「ウォーウ ウォーオ」ってなフェイクがスティーブそのもので。マスタリングはボブ・ラドウィグなんですね。音も良い!おなじみランディ・グッドラムとの共作”Most Of All”もあって、この相性の良さは『Street Talk』を思い出さずにはいられない。”Foolish Heart”、好きだったな。オーケストレイションにデヴィッド・キャンベル御大が参加していたり、ブッカーTジョーンズやネイザン・イースト参加曲も。ビートルズ、ジョージの”I Need You”のカバーもあって。ベースはピノ・パラディーノ。バラードにアレンジしていて、センスが良い。邦盤も流石に出ていて2曲のボーナス・トラック。ただ、ターゲットの独占エディションは5曲のボーナス入りということで、送料共に安いロシアから注文した次第。
最近1988年リリースのジャーニー『Greatest Hits』のアメリカ盤オリジナルLPも入手していたところ。こちらもボブ・ラドウィグのデジタル・リマスター済で、CDではおなじみの盤だけれど、LPの音はまた良かった。