*[ボーカル] Mae West / Great Balls Of Fire (MGM / 1972)
ハリウッド往年のセックス・シンボルだったメイ・ウェスト。ビートルズのサージェントペパーズの左上から3番目に映っているのがメイその人。ビートルズのメンバーは4人ともメイ・ウェストのファンだったみたい。で、こちらは60年代の狂騒を過ぎた1972年にMGMよりリリースされた、おそらく?当時の若者をターゲットにしたレコード。
考えてみると、メイ・ウェストの全盛期って1930年代。1893年生まれですよ!ロック史でいうと、1930年代半ばにレコーディングを残したロバート・ジョンソンですら1911年生まれですからね。だから、1972年の本盤レコーディング時にメイ・ウェストは79歳!エライおばあちゃんだったということになる。一般的に女優の歌はご愛嬌という印象があるけれど、全然聴けますね。音を外しているとかはなく、流石は歴戦のハリウッド女優。タイトル曲のジェリー・リー・ルイスのロックンロール”Great Balls Of Fire”はちょっとタイミング遅れてる箇所もなくはないけど、ちゃんと歌えている。ビル・ヘイリーの”Rock Around The Clock”も最高。自分が79歳になったとき、コレをこんな風に歌える自信はない。あとは狂おしいドアーズの”Light My Fire”とかね。むちゃくちゃいいですよ。陽気なニール・セダカ”Happy Birthday Sweet Sixteen”も大変よろしい。
“Men”のギター・ソロがむちゃくちゃファンキーでスリリングなんだけれど、誰が弾いているんだろう。クレジットはない。シャーリー・バッシーのキラー”Spinning Wheel”のギターを思わせるプレイ。
ちなみにアルバムのプロデュースは、至上最強の懐古趣味男、イアン・ウィットコム(”Men”はイアンの曲)。今年4月に惜しくも亡くなりました。ボーカルにはマイク・カーブ・コングリゲーションも加わってメイを盛り立てる。