いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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Fluff / Same(Roulette / 1972)

*['60-'70 ロック] Fluff / Same(Roulette / 1972)

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はっぴいえんど『風街ろまん』と同じくらい良い!と言ったら言い過ぎかもしれないけれど、さして誇張でもない。全くの無名バンドの唯一作なのだけれど、レコードの出音はまったくもってあの時代のロックのダイナミズムを全て兼ね備えている。予備知識はなかったけれど、プロデューサーのアート・ポーレマス(Art Polhemus)と4曲の作詞で参加しているエステル・レヴィット(Estelle Levitt)のクレジットを見て購入。白プロモで800円くらいだった。


プロデューサーのアート・ポーレマスはアラン・ゴードンやジェイク・ジェイコブスが在籍していたマジシャンズやそのジェイクが作ったバンキー&ジェイク、それにブルース・マグース、そしてジョン・ホールやバーバラ・キースが在籍していたカンガルーを手掛けていた人。コッペルマン・ルービン・カンパニー関係の人ですね。エステル・レヴィットが参加しているのも頷けるし、そのエステル唯一のソロ『Isn't It Lonely Together?』ブッダから1974年のリリース)もアートが手掛けていた。

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で、バンドの方はジョーレイ・オーティス、トミー・シェフの二人が楽曲を手掛けているのだけれど、そのいずれもが程よいポップさとロックのアンサンブルが同居しつつ、一言で言うと良くできている。”Go To Sleep, Elaine”なんて曲はジェイムス・テイラーがジョー・ママに入っているかのような仕上がり。”You Made Me Lose Control”のエレキとドラムスのファンキーな絡みと爽やかなコーラスは本当にクセになる感じ。何よりエレキの音が鈴木茂のような生成りの音なんですよね。最高!”Who’s Gonna Love Me In The Meantime”にはオルガンも入って、スティーヴン・スティルスのマナサスを思わせるロック・サウンドで。冒頭はっぴいえんど『風街ろまん』を引き合いに出したけれど、同じ時代の空気で作られているから当然とも言えるのかな。ちなみにバンド名Fluffとは綿毛のこと。まさに綿毛のように消えてしまったバンドなんだけれど、我が家の50年前のオンボロ・スピーカーにて爆音で鳴らすだけで、この世の憂さも晴れてしまう。

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