*[楽器道] Vol.8 Chaki P-2
この一年で相当ギターを売りました。楽器道のシリーズで紹介したものも、そうでないものも。マーティンのオールマホのドレッドノート・ジュニア、ルナのガット、Angelのギブソン3/4モデルのフルアコ、グレコのオールマホのフルアコ、ヤマハのミニガット、Avalonのドレッドノート、弦高が高すぎたヤマハFG-180も…。ウクレレもフェイマスとコアラナが旅立っていきまして。楽器は今どうしても必要なものがあったりする。それでいて古い楽器もモノによっては、オークションで買ったとき以上の値段で飛ぶように売れていくという、需要と供給の幸福なバランス(笑)
一方で増えたものもありまして。こちらのチャキ(Chaki)のP-2もそのひとつ。チャキ(Chaki)といえば憂歌団の内田勘太郎さんがボーカルの木村さんから物々交換で買ったというあのフルアコの名器P-1が知られているところ。ただ、名器とはいうけれど、型はギブソンをモデルとしつつも、安上がりな合板ベニヤ系のギター。その決して上品とは言い難い独特のジャキジャキした音色と見た目がハッキリ言って魅力でありまして。ただ、60年代後半から、2000年代まで実は生産されているので、コンディションは色々。私が狙いを定めていたのは1970年前後のゼロフレットのモデル。ネットオークションをほぼ毎日チェックし続けて、手ごろなヘッドロゴ無しの1970年製P-2をとうとう発見。P-2はP-1にピックアップを載せたモデルだから、純粋なフルアコでない分、人気は少し落ちる。でも、ピックガードを外せば良い感じになると確信して落札!なぜか市場価格の半額ぐらいだった。シリアルはNo.000185(ちなみにチャキは結構いい加減でシリアルや製造年が書いていないものもある)。送られてきてみると、元の持ち主がリフレットやナット交換もしていて、コンディションは悪くなく、ネックの反りもない。しかも細目で握りやすい。ピックガードは早々に外してしまう。
おそらく当初は、「P-1にピックアップを載せて」と個人オーダーしたものだと思う(ヘッドのChakiロゴが無いのもそういう理由か?)。ピックアップは当時のヘフナーと同種。アンプを通すつもりはなかったので、エリクサーのフォスファー・ブロンズのアコギ弦を張って、基本アコースティックで使うことにした。50年前のギターだけれど、プレイヤーズ・コンディションとしてはバッチリ。ハイポジションのソロも弾きやすい…これは儲けものだと思っていたのだけれど、2週間ほど前。なぜかビビり症状が。おかしいなと思ってヘッドを見ると、ペグのネジ付近の張力がかかる部分、板が縦に真っ二つ、ヒビ入ってまして…いや~やられたなと思いました。オークションでもかつてほとんどこんなトラブルはないのだけれど、50年前のギターならこれも仕方ない。よくよく購入時の画像をチェックすると、確かに縦に割れ修理跡が入っていた。だからやけに安かったんかい!っていう。気付けよ自分、っていう。
ただ、ネック裏を見ると、ネックの中央にも線が入っていた。つまり、もしかすると、そもそもネックを1本の木で作っていなかったということかも。ネックは2本の木を張り合わせ、ヘッドは出っ張っている部分にさらに2本の木を張り合わせて作った、と。今回割れが入ったのはソコですね。安普請もいいとこなんですが。
てなわけで早速、ギター工房では誰もが使っているというタイトボンドを購入!あと、2つで1000円もしない激安クランプを入手して、100均の注射針を使ってヒビのスキマにタイトボンドを充填。張り合わせてクランプで締め付けて約1日。完全に接着されました!タイトボンドは本当に最強。一つのカタマリになりました。治ったからこんなに冷静に書けるんですが、まじ焦ったというのが正直なところ。妙な愛着が生まれたので、いつかレコーディングなんぞで使ってみたいと思う。