いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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Fat City / Reincarnation

*[フォーク] Fat City / Reincarnation(Probe / 1969)

 

芽瑠璃堂の実店舗が復活するというニュース。いいですね~。今実家が吉祥寺なのだけれど、私が認識した時点では既に芽瑠璃堂もぐゎらん堂も存在しなかった。いせやはもちろんあったし、「のろ」や喫茶店のBogaも健在だったけれど。そんなわけで芽瑠璃堂という名前には今も伝説の輸入盤店というイメージが残っている。ネット時代に実店舗というアナログなムードが出てきたのはいいことだと思う。アナログでダウン・トゥ・アースな70年代―90年代ときて、2010年代がまた回帰の時代になるはずだったんだけれど、平均寿命が延びたせいか、人口のアンバランスなのか、バブリーで近代的な昭和元禄的価値観が延命してしまった感じ。でも、最近のムードだと2020のオリンピックでとうとう無思想で男性に媚びる忖度アイドル時代なんかも打ち止めになるのでは。わからんけど。

 

 

実は最近、自分が20代だった20年近く前のことを思い出しつつ、音楽をもう1回やり直している感じもある。あの頃自分は好きな音楽のどこに惹かれていたのか?とか、あの時の音楽の感動を取り戻すにはどうすればいいのか?とか。希少性と感動の結びつきもあるし、ビッグデータによる必然より偶然性にあったような気もする。あとは手触りみたいなヒューマニティ。70年代のスピーカーを買って当時の音を再現してみる…という最近のマイブームもそれと関連している。音楽の幸せとか、そんなことも思いつつ。

 

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 で、自分の重要なコレクションを形成するきっかけになったお店を再び訪ねてみたり。例えば今はネット・ショップのみとなっているけれど、DISC FILE(https://www.disc-file.com/)。山下達郎のラジオにも音源提供している、60~70年代フォーク、シンガーソングライターの名店。今ならユニオンとかにも沢山あるアメ盤を扱っている店は20年前はそんなに多くなかったような。カレン・ダルトンバンジョー実物も持っておられる。元々は猿楽町にあったみたいだけれど、高円寺、高田馬場、そして高井戸のご自宅の店舗までお邪魔したことがあったように記憶している。店長さんから、CD化されたとかどうでもいい、みたいな話とか、ご自身のコレクションも売っているけれど、探せばまたアメリカのどこかで見つかるから惜しくない、みたいな話を聞いたけれど、今ならその気持ちがよーくわかる。バリー・マンよりいい、と力説されていたデイブ・ロギンスの”Pieces Of April”なんて、未だに月1で聴いているし。

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そのDISC FILEでファット・シティの1969年のファースト『Reincarnation』を入手。これは素晴らしかった!ビル・ダノフとタフィ・ナイヴァートの夫婦デュオ(後、離婚!)で、ジョン・デンヴァーの代表曲”Take Me Home, Country Roads”他の作者として知られている。タイトル曲の”Reincarnation”は「輪廻」の意。東洋思想かぶれのヒッピー風ないかにも、のタイトルだ。1972年パラマウントからの『Welcome To Fat City』やBill & Taffyの『Pass It on』『Aces』はジョン・デンヴァー寄りのカントリー・フォーク作だったし、スターランド・ボーカル・バンドになるとAORテイストでさえある。

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それに対して、ファーストはママス&パパス的なフォーク・ロックの色がある。プロデュースはママ・パパのジョン・フィリップスが組んでいたモダンフォーク・トリオ、ジャーニーメンのメンバー、ディック・ワイズマン。何しろバックのセッションメンがバーナード・パーディ、ヒューバート・ロウズ、バッキー・ピザレリ、ボブ・ジェイムスといったソウル、ジャズのスーパー・スター達。アレンジはボブ・ジェイムス御大が担当。ボブ・ジェイムスはこの時代、ウォーレン・マーレイ(https://oldays.merurido.jp/magazine.php?magid=00023&msgid=00023-1371801904)やフラモックス(Frummox)の『Here To There』(これもProbeのリリース)といったSSWのセッションに参加していた模様。もちろん中には”Sally Anne”や"We Don't Live Here No More"みたいなジョン・デンヴァー・スタイルのフォークもある。というか、ジョンは彼らの力を借りてカントリー・フォークな独特のスタイルを作ったのだった。

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