プロデューサーのジョー・ヴェネリ(Joe Venneri)に引っかかって買ってみた一枚。1974年、CrunchというNYの知らないレーベル。正直ジノ・ヴァネリのキーボーディストのジョー・ヴァネリだと勘違いしていた。"ヴァネリ"ではなく当のジョー・"ヴェネリ"は「ライオンは寝ている」で知られるトーケンズのギタリストだった人のようだ。Crunchの旗揚げリリースは1973年のダニー&ザ・ジュニアーズの”At The Hop”のセルフ・リメイクの45回転だった模様。で、翌1974年にジョーがデビューさせた5人組がこのサンライズ。聴いてみて驚いた。時代としてはちょっと遅かったのだろうけれど、パワーのあるソフトロック〜MORな演奏と流麗なメロディ、全員で歌うコーラスがとにかく抜群で駄曲皆無。何よりリード・ボーカルのリック・ライデル(1979年にソロを出し、チャイ・ライツのシングルB面を書いている)の歌声がバリー・マニロウをさらに溌剌とさせたようで素晴らしい。”Doesn’t She”なんてのはアート・ガーファンクルの”Second Avenue”のような迫力。”Got To Find The Line”は大人が歌ったジャクソン5みたいな色でブルーアイド・ソウルなAOR感覚も先取りしている。ジャズ・ヴォーカリーズのような”Moonlight And Memories”もシャレている。キーボードのロイ・ブレイヴァーマンは後にテレビ・映画音楽の世界で活躍し(http://www.bravermania.com/about.html)、ギターのウォルター・バーはジャズ・シーンで70年代後半から80年代前半にかけてMuseから3枚のリーダー作をリリース(ロイ・ブレイヴァーマンも参加)、そしてドラムスのポール・シュワルツはロサンゼルスのレコーディング・スタジオStudio56のオーナーになったようだ。こういうレコードがCD化されることはないだろう、たぶん。