ボーイズ・タウン・ギャングといえば、何といっても” Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)”のディスコ版。フランキー・ヴァリの本家よりももしかすると、テレビなどで使われることは多いのかもしれない。60年代ポップスを80年代風にアップデートする試み、このアルバムと同じ年に大ヒットを記録した大滝詠一『A LONG VACATION』も同様の試みだった。で、こちらは” Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)”収録のアルバム。リリースがMoby Dickレコードというのがいいですね。メルヴィルの白鯨ですね。
さて、聴いてみるとシングルの寄せ集め風というか、スターズ・オンもののようなつくりなんだけれど、そう感じたのはA面の” Can't Take My Eyes Off You”、レッドボーンの”Come And Get Your Love”、スティーヴィー・ワンダーの”Signed, Sealed, Delivered, (I’m Yours)”という完璧な3曲の流れ。
とりわけレッドボーンの”Come And Get Your Love”は好きな曲ベスト10に入れたいほどの曲なんで、最高でした。レッドボーンはネイティブ・アメリカンのロック・グループ。パット&ロリーのヴェガス兄弟は60年代にはソウルフル・デュオとして鳴らしていたけれど、恐ろしい程の力量をもったミュージシャンだった。ロリー・ヴェガスはカントリー・ソウルなソングライター、ジム・フォードと一緒に"Niki Hoeke Speedway"や”Ju Ju Man”を書いて、ブリンズリー・シュウォーツが取り上げている。ニック・ロウが大好きだったみたい。
で、ボーイズ・タウン・ギャング版の”Come And Get Your Love”ですよ。若干ディスコらしくテンポアップされていて、”Come And Get Your Love〜”という最高に甘酸っぱいリフレインを聴いていたら、「あ!」と気付きまして。コレ、米米CLUBの一世一代の特大ヒット曲”君がいるだけで”の後半のリフと一緒ですね。「True Heart 伝えられない True Heart わかって True Heart 見えないものを True Heart 見つめて」がそのままのオケで歌えるという。米米のルーツからすると、レッドボーンよりもボーイズ・タウン・ギャングではないかな。無意識の産物かもですが。ネットの情報網で指摘している人は今のところいないけれど、発売後25年にして気付いてしまいました…どっちもいい曲だと思うけれど。