いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

f:id:markrock:20190212213710j:image
いしうらまさゆき へのお便り、ライブ・原稿のご依頼等はこちらへ↓
markfolky@yahoo.co.jp

f:id:markrock:20200521020444j:image
f:id:markrock:20190212212337j:image
[NEW!!] ohno tomokiとダニエル・クオンによるデュオ「x-bijin」初のアルバム『x-bijin』(2020年6月26日発売)、リリースインフォにコメントを書かせてもらいました。
詳細はココをクリック
11月15日発売のレコードコレクターズ12月号に加奈崎芳太郎『キッス・オブ・ライフ ジャパニーズ・ポップスの50年を囁く』(明月堂書店)の書評が載りました。
f:id:markrock:20200521021219j:image
編集・ライターを担当した加奈崎芳太郎著『キッス・オブ・ライフ ジャパニーズ・ポップスの50年を囁く』(エルシーブイFM「加奈崎芳太郎のDIG IT!!」書籍化)が2019年8月に発売されました。
●加奈崎芳太郎著・桑畑恒一郎写真
●定価:本体3000円+税
●A5判(上製)416頁
詳細はココをクリック
注文はココをクリック
【メディア掲載】
『毎日新聞』2019年10月3日掲載 「元「古井戸」加奈崎芳太郎さんが本出版 音楽活動50周年の集大成」
詳細はココをクリック
『長野日報』2019年9月25日掲載 「音楽文化で伝える戦後 パーソナリティのFM番組まとめ 加奈崎さん書籍刊行」
極北ラジオ石浦昌之の「哲学するタネ」が書籍化されました。
『哲学するタネ【東洋思想編】――高校倫理が教える70章』(石浦昌之 著)2018年9月発売!!
●石浦昌之著
●定価:本体2500円+税
●A5判(並製)384頁
詳細はココをクリック
注文はココをクリック
【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
ココをクリック
【ブックガイド掲載】
斎藤哲也『もっと試験に出る哲学――「入試問題」で東洋思想に入門する』(2020年、NHK出版新書)

Steve Addiss・Bill Crofut / Such Interesting People(Verve / 1963)

markrock2017-07-03


一時期サイモン&ガーファンクル(S&G)ブレイク後に雨後の筍のように登場した男性デュオばかりを集めていた。段ボール何箱分かくらい「何とか&何とか」っていうレコードがあるんですが、アディス&クロウフット(Addiss And Crofut)ってのもその一つ。1968年にコロンビアからリリースされたジョン・ハモンド・プロデュースの『Eastern Ferris Wheel』っていう盤(コロンビアからは前年にもう1枚出ている)が素晴らしい出来で。未だかつて語っていた人は誰もいないけれど(笑)。メンバーのスティーヴ(ン)・アディスは70年代には音楽活動をリタイアし、日本画俳画・禅画)研究家として大学教授になった。現在アメリカで専門書を多数出版しているみたい(http://www.stephenaddiss.com/)。自分でも日本画を描いているみたいだけれど、アメリカではホンモノだと思われているんでしょうけれど、ちょっと稚拙に見えるような気も。

さて、この『Eastern Ferris Wheel』もジャケからして60年代ヒッピーの東洋趣味全開。アコギ、バンジョーに加えてタブラや琴も入って無国籍フォークと化しているんだけれど、”Flowers Fall Away(Sakura,Sakura)”のタイトルで「さくらさくら」をフォーク風にアレンジしているのが「赤い鳥」的アプローチで、良い。他にも日本の子守唄(「坊や良い子だねんねしな」と日本語で歌う)や中国、インドネシアの民謡をアレンジして歌っている。最後ブラジルまで行ってしまうと、もう「非西洋」という括りでしかなくなってしまうのはオリエンタリズムの産物ではあるのだけれど。しかしオーケストレーションを交えた”He is There”なんてのは目くるめくオモチャ箱ソフト・ロックだったり、当時レーベル・メイトということになるデイブ・ブルーベック・カルテットと共演した”Forty Days”もフォークの枠を超えたプログレッシブな仕上がりで。バンジョーやフレンチホルンを演奏するクロウフットは1990年代にデイブ・ブルーベックの息子クリス・ブルーベックと作品をリリースしている。

このアディス&クロウフット、実は芸歴は古くて、日の目が当たったのはS&Gよりも先だった。スティーブ(ン)・アディス&ビル・クロウフットという名前で1962年のフォークウェイズ盤でデビューしている。1935年にニューヨークで生まれたアディスはS&Gよりもさらに上の世代。ジョン・ケージとは同じ学び舎で作曲を学んだ友人だったんだとか。そう、そもそもこの人達のことを思い出したのは、先日1963年のVerve盤『Such Interesting People』を中古レコ屋で入手したから。結構良質のモダン・フォークだった。後にCTICreed Taylor Issue)で知られることになるクリード・テイラーのプロデュース。しかも今まで噂には聞いていたけれど、コレクターだったという故「長門裕之」所蔵盤だった(裏ジャケにスタンプがありました)。桑田佳佑がデビュー時に瓜二つだと騒がれた石原慎太郎原作太陽の季節はじめ、お馴染みのあのお方ですね。

桑田とは湘南コネクション。弟・津川雅彦拉致問題云々で石原と同類になったのも文化史的に興味深いんですが。まあそれはいいとして、1ドル360円時代にリアルタイムでこんなマニアックなフォークのレコードを手に入れていた、ということにも驚きを感じつつ。