いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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 Folk Roots, New Routes フォークのルーツへ、新しいルートで

markrock2017-06-19


Monchicon! 清水祐也監修の『Folk Roots, New Routes フォークのルーツへ、新しいルートで』シンコー・ミュージック・ムック)がお店に並び始めた。私も日本のフォーク中心(あとはディノ・ヴァレンティなど)にレビューを書かせてもらっている。目印となる表紙はノンサッチから新作『CRACK-UP』をリリース直後のフリート・フォクシーズ(http://fleetfoxes.co/crack-up)。新作には「大台ケ原(ODAIGAHARA)」なんていう日本の地名を冠した曲もあったり、私自身謎解きのように聴いていたものだから、巻頭のインタビューで200%理解が深まった(元ドラマーのファーザー・ジョン・ミスティのインタビューもある!)。リリース元のノンサッチといえば、かつてはフォークや民族音楽で有名やエレクトラ傘下、現在はワーナー傘下で在りし日のバーバンク美学が継承されているレーベルだ。なんとMonchicon!(モンチコン)にはノンサッチ社長のインタビューが掲載されていた(http://monchicon.jugem.jp/?eid=2174)。

そう、『Folk Roots, New Routes フォークのルーツへ、新しいルートで』を監修した清水祐也くんが手がけているMonchicon!(モンチコン)(http://monchicon.jugem.jp/)はその界隈で知らぬ者はいない国内屈指のインディーロック情報サイト。2012年にDU BOOKSから『モンチコンのインディー・ロック・グラフィティ―The First Annual Report Of Monchicon』、2014年・2015年にシンコー・ミュージックからCROSSBEAT Presents CON-TEXT』 Vol.1とVol2が出版されているけれど、そのいずれも音楽・映画を始めとした幅広いサブカルチャーの知識がミュージシャンの脳内と共振するようなつくりになっている。



今回の『Folk Roots, New Routes フォークのルーツへ、新しいルートで』はご存知デイヴィ・グレアム&シャーリー・コリンズ1965年の名盤から採られたもの。現代の新世代のフォークと1960〜70年代の手垢のついたフォークを断絶させていたのは単にファンの意識だったのかもしれない。驚くほどに新世代のフォーク・ミュージックとかつてのフォーク・ミュージックとが繋がっているとわかる…50数年前のデイヴィ&シャーリー盤のタイトルがそれを雄弁に語り、今も私たちを新しい境地へといざなってくれるなんて…素敵じゃないか!

日本のポピュラー・ミュージックに造詣が深く、(ホソノをレスペクトする)デヴェンドラ・バンハートと細野晴臣の予定調和を拒むような対談(最高!)も収録されていて。それにしても大きな物語が機能していた1950〜90年代頃まで、日本のポピュラー・ミュージックは常にアメリカやイギリスを参照枠とし、そこにいかに早く接近しコピーできるかどうかに「ホンモノ」としての価値があった。しかし21世紀に入り、今度はアメリカやイギリスの若者が、日本というフィルターを介した(憧れの)米英音楽表象を面白がるようになっていて。この「ホンモノ」の転倒劇、「時代が一回りした」と簡単に言えるものでもないのですが。

その意味でいうと、誌面でも紹介されているように、10月に米シアトルのレーベルLight In The Atticからリリースされる70年代日本のフォークのコンピレーション『Even A Tree Can Shed Tears: Japanese Folk & Rock 1969-1973』(https://lightintheattic.net/releases/3178-even-a-tree-can-shed-tears-japanese-folk-rock-1969-1973)なんてのは抜群に面白いセンス。灯台下暗しのような再発見も、音楽の楽しみのひとつだと思う。