いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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markfolky@yahoo.co.jp

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[NEW!!]「読者たちの夜会」(2021/1/14 LOFT9渋谷) 2020ベストビブリオバトル にて、哲学芸人マザーテラサワさんが『哲学するタネ―高校倫理が教える70章【西洋思想編1・2】』を取り上げてくれました。
[NEW!!]評論家・映画監督の切通理作さんが店主を務める阿佐ヶ谷・ネオ書房の読書会を開催します。
哲学を学び直したい人のために ネオ書房【倫理教師・石浦昌之ライブ読書会】 12月20日(日) 18時半開場 19時開演 高校倫理1年間の授業をまとめた新刊『哲学するタネ 西洋思想編①』(明月堂書店)から、西洋哲学の祖、ソクラテスを取り上げます。 内容 ◆ フィロソフィア(愛知)とは? ◆「無知の知―汝自身を知れ」 ◆問答法はディアロゴス(対話)の実践 ◆「徳」とは何か? ◆プシュケー(魂)への配慮 ◆善く生きることとは? 入場料1200円 予約1000円  予約kirira@nifty.com
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[NEW!!]『哲学するタネ】――高校倫理が教える70章』【西洋思想編1】【西洋思想編2】が2020年10月20日に2冊同時刊行!!。
『哲学するタネ】――高校倫理が教える70章』【西洋思想編1】【西洋思想編2】2020年10月20日発売
●石浦昌之著
●定価:西洋思想編1 本体2000円+税(A5判 330頁)(明月堂書店)
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●西洋思想編2 本体1800円+税(A5判 300頁)(明月堂書店)
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honto西洋哲学 1位・2位に2冊同時にランクインしました(2020/10/25付)
2020年7月31日発売『URCレコード読本』(シンコー・ミュージック・ムック)に寄稿しました(後世に残したいURCの50曲 なぎらけんいち「葛飾にバッタを見た」・加川良「教訓1」・赤い鳥「竹田の子守歌」、コラム「高田渡~永遠の「仕事さがし」」)。
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ohno tomokiとダニエル・クオンによるデュオ「x-bijin」初のアルバム『x-bijin』(2020年6月26日発売)、リリースインフォにコメントを書かせてもらいました。
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11月15日発売のレコードコレクターズ12月号に加奈崎芳太郎『キッス・オブ・ライフ ジャパニーズ・ポップスの50年を囁く』(明月堂書店)の書評が載りました。
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編集・ライターを担当した加奈崎芳太郎著『キッス・オブ・ライフ ジャパニーズ・ポップスの50年を囁く』(エルシーブイFM「加奈崎芳太郎のDIG IT!!」書籍化)が2019年8月に発売されました。
●加奈崎芳太郎著・桑畑恒一郎写真
●定価:本体3000円+税
●A5判(上製)416頁(明月堂書店)
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【メディア掲載】
『毎日新聞』2019年10月3日掲載 「元「古井戸」加奈崎芳太郎さんが本出版 音楽活動50周年の集大成」
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『長野日報』2019年9月25日掲載 「音楽文化で伝える戦後 パーソナリティのFM番組まとめ 加奈崎さん書籍刊行」
極北ラジオ石浦昌之の「哲学するタネ」が書籍化されました。
『哲学するタネ【東洋思想編】――高校倫理が教える70章』(石浦昌之 著)2018年10月10日発売
●石浦昌之著
●定価:本体2500円+税
●A5判(並製)384頁(明月堂書店)
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【書評掲載】
『情況』2018年秋号 田中里尚(文化学園大学准教授)「教えられぬことこそ語り続けなければならない―石浦昌之の実践について―」
『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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【ブックガイドに掲載されました】
斎藤哲也『もっと試験に出る哲学――「入試問題」で東洋思想に入門する』(2020年、NHK出版新書)

ブルース・ホーンズビィ"The Way It is"から30年を経て

markrock2016-11-20


久しぶりに何気なくブルース・ホーンズビィ&ザ・レンジのレコードを聴いていてハッとした。1986年に全米No.1になった"The Way It is"。美しいピアノの音色を中心に据えた王道のアメリカン・ロック。エリオット・シャイナーがプロデュースに加わっていて(ヒューイ・ルイスが手がけた曲もある)、30年経っても全く古びていない良い音。CDと違うジャケだったことにもちょっと意外だなと思ったり。このLPは輸入盤。

日本で洋楽はほぼサウンドについて語られるばかりだから、この曲もピアノの美しさばかりが強調されて、歌詞に注目した人はついぞいなかった気がするけれど。バブルに至る日本のムードはシリアスな歌詞を受け止められなかった。ビリー・ジョエルのベスト盤でアレンタウンとグッドナイト・サイゴンをスルーする、そんな感覚。


生活保護の申請のために列に並ぶと、絹のスーツの男が年配の女性に「仕事見つけろよ」とからかっていく…というAメロ。コーラスは、


That's just the way it is(現実はこんな風だ)
Some things will never change(変わらないものがある)
That's just the way it is(現実はこんな感じで)
But don't you believe them(でもそんなのを信じるのかい)...



その後の歌詞を読むと、1964年に成立した公民権運動も効力を失ってしまったこと、法律は人の心まで変えられなかった、現実はこんな風だ…と続く。悲しいあきらめのようなメロディだけど、現実を直視しつつ、こんなのはおかしいよ…と言うメッセージの余韻が残る。



なんだかトランプズ・アメリカの現実と重ね合わせて、深く感じ入るものがあった。映画『バック・トゥ・ザーフューチャー』(この映画も30年前に封切られた)で主人公マーティ・マクフライの父親をいびっていたビフはトランプがモデルという話だけれど、今年は映画の予想通り、そのディストピアが現実になったかに思われた。でも、そうなるアメリカの風土は30年前既にあったということだろう。そんなことで色々調べてみると、ブルース・ホーンズビィは2011年にトランプを題材にしたブロードウェイミュージカル『SCKBSTD』の音楽を手がけていたのだった。その中の曲、"The Don of Dons"と絡めてトランプの狂気を語る記事もあったから(http://www.billboard.com/articles/news/7393555/bruce-hornsby-donald-trump-song-interview)、直感は間違ってもいなかったようだ。



80年代、レーガノミクス双子の赤字を抱えたアメリカ。貿易摩擦で日本に憎しみを募らせていたのがトランプだった。レーガン規制緩和、小さな政府、民営化、市場原理主義…という新自由主義路線。格差社会が進行し、自信を失った人々は内向きになっていった。今思えば、80年代のアメリカン・ロックはある種白人によるアメリ民族音楽のような音だったようにも思う(90年代は黒人ヒップホップの揺り戻しが来た)。マッチョイズムっぽい感じもあって。ブルース・スプリングスティーンジョン・クーガー・メレンキャンプトム・ペティも。ジョン・フォガティも復活していた。後にはアメリカーナなんて名称も出てくるわけだけど。ブルース・ホーンズビィも、ブルーグラスに接近した時期もあった。今振り返ると、思想的にはリベラルでも、音だけは愛国的・内向きだったのかも。スプリングスティーンは本当にそれで勘違いされたりもした。でも日本にもそんなねじれがあったような。外向きグローバル志向のリベラルはっぴいえんどが日本語で、内向きロケンローラーが英語、みたいな。



日本にも新自由主義が中曽根に始まり、森〜小泉〜安倍ラインでアメリカに遅れて完全導入される。当然格差が進行して内向きになり、エスタブリッシュメント打破みたいな橋本現象とか、ニッポンを取り戻せみたいな話が出てきてリベラルが退潮した。That's just the way it is(現実はこんな風だ)…って話になってくるのでありまして。まあ、リベラル(liberal)ってのは人間にとって崇高すぎるのかもしれない。ラテン語の語源liberは満たされた自由民のことだから。自分に余裕がなければ、人様に分け与えることなんてできない、ということなのだろう。



さて、ブルース・ホーンズビイから遠いところに来てしまったので話を戻そう。彼のデビュー・バンドのザ・レンジは売れない方がおかしい、という位の腕利き揃いのバンドだった。ファースト・ツアーの前まで短期在籍したギター・マンドリン・ヴァイオリンのデヴィッド・マンスフィールドTボーン・バーネットやスティーヴン・ソールズとアルファ・バンドを組んでいた。ディランのローリング・サンダー・レヴューでもお馴染み。元々はトニー・ベネットのドラ息子(かどうかは知りませんが)二人とクァッキー・ダック・アンド・ヒズ・バーンヤード・フレンズを組んで天下のワーナーからアルバムをリリースしていた。



さらに、ギターのジョージ・マリネリはビリー・ヴェラのバンド、ザ・ビーターズでギターを弾いていたし、ベースのジョー・プエルタはデヴィッド・パックのアンブロージアのメンバーだった。"The Biggest Part Of Me"収録のアルバム『One Eighty』の写真の真ん中にいる人。


そんなバンド・メンバーを従えたブルースはその後もアメリカン・ロックの大物との共演を経験した。ドン・ヘンリーのために作った"The End Of The Innocence"は特に印象的だった。ノイズメイカーズのライブ盤『Here Come the Noise Makers LIVE98/99/00』にブルースの自演版が収録されている。そして、元シルヴァーだったブレント・ミッドランドの後釜としてグレイトフル・デッドに加入し、インプロヴァイゼーションを鍛え上げた。いまだに彼のライブにはデッド・ヘッズが駆けつけているとのこと。2011年の『Bride of the Noisemakers』も素晴らしい2枚組ライブ盤だった。写真の右下にあるのは彼のサインだ。