Giorgio / Son Of My Father (Dunhill / 1972)
『トップガン』(ベルリンの”Take My Breath Away”など)『フラッシュ・ダンス』(アイリーン・キャラの”Flashdance…What A Feeling”とか)『ミッドナイト・エクスプレス』『ネバーエンディング・ストーリー』『オーバー・ザ・トップ』といったサントラ仕事、そしてドナ・サマーをはじめとした一連のディスコもの(Hot Stuffとか)のプロデュースで一世を風靡したイタリアのミュージシャン、ジョルジオ・モロダー。これは「ジョルジオ」名義での3枚目のアルバム。1969年のファーストはタイトルが『That's Bubblegum - That's Giorgio』で"Yummy, Yummy, Yummy"といったブッダ系のバブルガム・ポップに加えてCCR、ホリーズ、サー・ダグラス・クインテットなんかを取り上げている。この辺りからして後のジョルジオに通ずる下世話なポップ・サウンドの原型を見る思いがする。ポップなメロディ+CCR的な反復ビートでトランスしていく感じ。
さて、この三枚目はドイツのレーベル、ハンザ産だけれど、アメリカではダンヒルのディストリビューションで出ている。1972年という時代を考えると、ムーグ・シンセの宇宙的サウンドがディスコやエイティーズ風味を先取りしているのが面白い。結構革新的じゃないかな、と思うけれど(ラストのムーグと弦が絡む”Tears”では後のモロダーの音が既に聴ける!)、ロックにも多少の精神性が求められてもいた時代背景を思うと、このバブルガムの延長のようなド級のポップ・サウンドは分が悪かった。”London Traffic”とか”Underdog”みたいなホリーズ風ポップも魅力的だ。
久々にジョルジオ・モロダーを聴き直そうと思ったのは、ドナ・サマーのアメリカ盤を何気なく聴いていたら、むちゃくちゃLPの音が良かったから。こんなに良かったっけ、という。アナログ録音だと、エイティーズものですら、音が良い、と思うようになってしまった。新作のLPでも、デジタル録音の音源をそのままLPにしたようなやつは、正直イマイチだし。
ソロのCDも昔買った気がするけれど、レコの山に埋もれて探せそうもない…現在76歳で、まだ新作とか出しているみたい(http://www.moroder.net/)。すごいですね。10月末、ハロウィンの日に渋谷で観たリンゴ・スターも元気すぎて驚いたけれど!