昨年の8月から作り続けて来た4枚目のアルバム制作。いよいよ本編のマスタリングまでが完成した。全15曲ここ半年で書き下ろした新曲のみ。プロデューサーの馬下義伸さんと二人だけで全ての楽器を演奏した。カラフルなアレンジには馬下さんのペット・サウンズ直系のポップス感覚が反映されている。さらにゲストの参加もあり!前作でやり尽くしたフォーク・ルーツは封印。60〜70年代のポップかつストレンジなフィーリングを大切に、全編シングル・カット可能なアルバムを作ろうと企図したのだけれど、どうかな?
発売は7月あたりを考えているけれど、どうなることやら。70年代の珠玉のポップスをカバーしたボーナス・ディスクも制作中。詳細はまたいずれ発表できればと。
さて、昨日は忌野清志郎さんの命日で、色々思うところがあった。そう言えば亡くなってから聴かなくなったなぁ、と。聴くと思い出して辛いので。最近もベン・E・キングやザ・ワイルドワンズの加瀬邦彦さんが亡くなったニュースにはショックが大きかった。
大滝詠一さんもそう。いまだに聴くとなぜか胸が詰まってしまう。3枚組のベスト盤『Best Always』はそうは言っても良かった。90年代以降の音源もわざわざシングル盤を出してくるのは面倒だったし。ただ、単発のシングルを収めた新作がいつか出るなんてことがあったら、という儚い夢がこんな形で叶ってしまうのも複雑な気分だった。ご本人が存命であったら出さないだろうな、という音源もこれから出てくるかもしれない。ジミヘン商法みたいですが。シュガーベイブ『SONGS』の40周年記念盤も出る。
葬儀で流れたという“夢で逢えたら”の自演。「素敵なことね」の歌い回しが吉田美奈子版とは違うので一瞬違和感を感じたけれど、聴き慣れるとこっちがしっくり来る。しかし素晴らしく歌が上手い。音程のアップダウンやビブラートが滑らかで聴き惚れてしまう。聴く前にはナイアガラ・ムーン期の乾いた歌声によるデモを想像したのだけれど、ロンバケの世界に通ずるあのウェットな歌声で。ちなみにどうでもいいですが、ブックレットを見ていて改めて思ったけれど、アルバム・ジャケットの統一感のあるデザイン・センスに対して(WORK SHOP MU!!にしても、永井博にしてもタイムレスな魅力がある)、シングルのジャケは時代に取り残されたようなイナタさを持ってますね。
さて、あとは大滝詠一自身が後継者として名指ししていたボーカリスト鈴木雅之のベスト盤にはシャネルズとサンタクロース姿の大滝詠一との共演ライブ(1979年の新宿ルイード)2曲を収録。これも、よく噂になっていたライブ音源だけれど、ご本人だったら出さなかっただろうなと思ったり。正直音は余り良くない。ただ、ライブの盛り上がりはよく伝わってくる。「一年半ぶりです。人前で歌うのは…」なんていう大滝の気さくなMCもあり。はっちゃけた”クリスマス音頭”も良かったけれど、結構グッと来たのは作曲家バリー・マンのシンガーとしての唯一のシングル・ヒット”Who Put The Bomp “In The Bomp Bomp Bomp””。詩はジェリー・ゴフィン。バリーのシングルを聴き込み、血肉化したことがよくわかる、乗り移ったような歌い回し、そして後半は物真似を交えつつ、黄金の階段コード進行に載せてワン・フレーズずつオールディーズ・メドレーを演るという粋なアレンジもあって。
ちなみに鈴木雅之は2014年の邦楽カバー集の第二弾『DISCOVER JAPAN?』で”幸せな結末”(松たか子とのデュエット)と”夜明け前の浜辺”をカバーしている。個人的にはドゥ・ワップな”夜明け前の浜辺”が流石お家芸、オリジナルとはまた違う魅力があるな、と思った。