いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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バフィ・セイント・メアリーで歌い初め

markrock2015-01-11



新年十日も過ぎましたが、今年もよろしくお願いいたします。新成人のみなさまおめでとうございます。今年も宜しくお願いいたします。



年末年始もぶっ続けで音楽制作を続けている。プロデューサー・アレンジャーの馬下義伸さんと二人の制作チームで。昨年1年間は、自分の3枚目のアルバムでボーナス・トラックも含めて20曲、三鷹の保育園から依頼された音頭やサンバ、ラッパーのEARVINさんのアルバムのアレンジや仮歌入れで10数曲、今制作中の自分の4枚目のアルバムでもう10数曲…50曲くらい二人だけでトラックを作った。3年間で1曲も書けなかった時もあったから、何かに突き動かされているとしか思えない。



その理由かもしれないのが、ポストモダン末期の世界の景色というものだ。悲しいかな、戦後のベビーブーマーを湧かせてきたロックのオリジネイターの死も相次ぐようになってきて、迎えた今年前後が、間違いなく戦後ポピュラー音楽の歴史の結節点となる(ような気がする)。そんなこんなで、戦後の音楽ムーブメントを検証しつつ、矛盾するようだけれど、まだまだそう簡単に総決算させないぞ、と思わせる作品を作りたいと思っている。

ということで、新年一発目の制作は「Universal Soldier」のカバーを。こういう歌を歌うと色々邪推される向きもあると思うので、はっきりと言いますが、この曲の「メロディ」が好きなんです。いつもアタマの片隅にあって、いつかカバーしたいと思っていた。馬下さんの、モノラルからステレオに、最後は現代的に、という時代を跨ぐコダワリのアレンジも手前味噌ながら素晴らしい。思想性で判断されたり、メロディが単調などと形容されることのあるフォーク・ミュージックだけれど、メロディの普遍性は着目すべきだと思っている。


オリジナルはネイティブ・アメリカン出身のフォーク・シンガー、バフィ・セイント・メアリー。1996年に出たバフィのセルフカバー盤『Up Where We Belong』のセルフ・ライナーによると、トロントのパープル・オニオン・コーヒーハウスの地下で60年代初頭に書かれたのだという。1965年にイギリスのフォーク・シンガー、ドノヴァンがカバーし、彼の当たり曲になった。もちろん今回は愛して止まないドノヴァン版を参考にした。



ちなみに、バフィの3度目の夫はフィル・スペクターの片腕でもあり、バッファロー・スプリングフィールド時代からのニール・ヤングとのセッションなどでも知られたジャック・ニッチェだった。ジャックとの蜜月期には、バフィ、ジャックと作詞家のウィル・ジェニングスで"Up Where We Belong"を書き、アカデミー最優秀楽曲賞を獲った。歌ったのはジョー・コッカーとジェニファー・ウォーンズ。コッカーは昨2014年末に惜しくも亡くなってしまった。その他、エルヴィスもレコーディングした名曲"Until it's Time for You to Go"や映画『いちご白書』(1970)の挿入歌として大ヒットしたジョニ・ミッチェルのカバー"The Circle Game"が代表曲。セサミ・ストリートへの出演もそのキャリアでは特筆すべき。まだ73歳を越えて歌っているのが嬉しい。