いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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 マーク from GARO / 時の魔法(Epic / 2013 )

markrock2014-12-17



CS&N来年3月来日決定!なんて嬉しいニュースも入ってきている中で、ガロのマークこと堀内護さんの死…まだ結構落ち込んでいる。65歳…まだまだ若かった。ジョニー大倉氏に引き続いて。CS&Nの来日、マークさんならどんな風に受け止めたんだろうか、なんてことも想像しつつ。マークさんは昨年、奇跡のカムバック新作『時の魔法』をエピック・ソニーよりリリース。マークさん自身によるプロモーションも行われていたし、それを援護するかのように、ガロ直系弟子のアルフィー竹内まりやがラジオのスタジオライブで”時の魔法”を歌う、なんて一幕もあったり。今年に入ると、元古井戸の加奈崎芳太郎さんと加奈崎さんの弟子として知られるサンタラの面々と共に、「ガロ井戸」名義で渋谷BYGでライブを行い、その後ツアーも予定されていたのだが、このタイミングでマークさんの体調不良の報が入り…急遽マーク不在で決行されることになったのだった。そして先日の訃報…余りに突然のことでとてもじゃないけれど受け止めきれない。



ライブ活動を再開した際、伝説の人だった生のマークさんと初めて会えたときの感動は忘れられない。子どものような年齢の私をとても優しく迎えてくれたのを覚えている。ガロはトミーの自死という衝撃的な結末を迎え、ボーカルさんとの確執なども噂されていた。70年代の日本のフォーク・シーンを良くも悪くも象徴するグループだっただけに、大勢のファンが付いていた。それゆえ、自分の世界にミュージシャンを閉じ込めようとする独善的なファンの中傷なども色々あったのではないかと推測する。でもそんなしがらみから距離を置いて、彼の演奏や文章に耳を傾けてみると、CSNやウェストコースト・ロック、アメリカン・ポップスが大好きで、純粋にその音楽に向き合ってきた姿が浮かんでくるのだった。CSNを基調とした音作りに日本独特の湿り気や歌謡性を付け加えたのがガロにおけるマーク楽曲だった、としばしば評されてきたけれど、遺作『時の魔法』に収められた”虹色のラベンダー”や”アビーロードの青い空”におけるみずみずしいポップセンスはどうだろう。彼の幅広い音楽性が開花した傑作だった。これからも語り継ぐに値する音楽だと思っている。


以下は『時の魔法』のレビューを再掲します(2013年10月19日記)。

ガロのマークさん、まさかの新作リリース!リリース前からFacebookや公式HP(http://markpage.web.fc2.com/)でも着々と制作速報がアップされていて、いやが上にも期待は高まった。個人的にはジョン・レノンがニュー・アルバムをリリース、ぐらいの意味を帯びている(ふざけてません)。CSN&Yの新譜、とかよりも期待は上だったな。しかもエピック・ソニーというメジャーから久々のリリース。”学生街の喫茶店”で紅白出場してから40周年とはいえ、突然のことで。団塊の世代の業界の裏方はリタイアした人も多い訳だし、ソフトロック界隈で再評価されたことが大きかったのか?その世代にガロに触れた業界人も多いはずだから…とか言ってたら、どうも仕掛け人のエクゼクティブ・プロデューサーでライターの富澤一誠氏がソニーの若手と繋いだんだとか。初回特典がビックリマン風シールってのも同世代の昭和の匂いを感じました。



ガロと言えば1971年にデビューしたCS&Nスタイルのフォーク・トリオ。マークこと堀内護、トミーこと日高富明、ボーカルこと大野真澄の3人組だった。デビュー前の堀内と日高は松崎しげるとミルクというコーラス・グループを組んでいた(ミルクのシングル発売の際にはもうメンバーは居ない)。そして、再結成も近年話題になったヘアーの日本版ミュージカルに大野と堀内が参加していたのだった。堀内は堀内麻九(マーク)名義でサントラに参加している。ガロのコピーをしていたアルフィーはその後輩格にあたる。グループサウンズっぽいメロディを3声でハモるっていうロック歌謡スタイルは完全に引き継がれている。高見沢俊彦の初期の楽曲スタイルにいちばん近い(たぶん参考にした)のがマークさんなんじゃないかな。



さてさて、学生時代だった90年代後半にはCD化も実現し、ますまずガロ命ってな感じだった私ですが、全アルバムを聴きまくったあげく、マークの近作でなんとか発見できたのがグッド・フレンズ名義の『ウッドストックの夏』(1994)やギタリスト杉山栽一がピート・ブラウン(”クリーム”に詩を提供した詩人で自身のバンドも率いてましたね)と共演した『So Am I』への参加だった。特に前者は”ウッドストックの夏”という非の打ち所のないロマンティックな歌謡フォークを提供していて、今どこで何をしているんだろう、と思いつつ優しいマークさんの歌声に健在を知ったのでありました。



その後、マークさん活動再開、の報を聞きつけ、2009年に五反田のロッキーというライブハウスに行き、初生ガロ体験。それはそれは感動しましたよ…(http://d.hatena.ne.jp/markrock/20090118)んで、しばらくしてから、とある有名ギタリストとツアーを回る話になったけれど、声などのコンディションが優れず流れた、なんて話も聞いていて。心配していたんですが、そんな中での今作でしょう!本当に嬉しくて嬉しくて。しかも内容が良い。マークさんのポップ・センスが大爆発している大充実作だと太鼓判を押したいところだ。



このマークさんの復帰作に参加陣も豪華に応えていて。小原礼鈴木茂高橋幸宏、ちょっと意外だった鈴木雅之ブレッド&バター(やっとCS&Nなギター・リフに生まれかわった”学生街の喫茶店”で聴ける、幸矢氏の変わらぬハイトーンによる”時は流れた”に驚嘆…)、”ロッキー”で近年も共演していた加橋かつみ(タイガースもとうとう結集ですね…)…若手ではサンタラの砂田和俊、あっぷるぱい、ホソノさんのバックで知られる高田漣伊藤大地&伊賀航という。後者の(比較的)若手陣は70年代的なものを受け継ぐヒトビトをとりあえず揃えてみました、みたいな制作者の安易さも感じたけれど、うまくハマっている。個人的には高田漣アレンジの”ロマンス”が秀逸でした。個性的なリズム展開のしょっぱなから原曲のアレンジに引き戻す、という離れ業。オリジナルの完コピっぽいトラックと比べると、ミュージシャンとしての力量は突出していると感じられた。



さらに、”ギターの上手かった あいつもいない”と歌われていた故・日高富明の悔しさをいちばん判っていたはずのマークさんだからだろう、Guess Whoってなクレジットにトミーらしいギターが聞こえてきたり、”ロマンス”の最後のリフレインに確執が噂されていたボーカルこと大野真澄氏らしき声が聴こえたり…ムッシュことかまやつひろしのバックを演っていた時代もあったガロの代表曲”四つ葉のクローバー”ではガロ後期の傑作”吟遊詩人”のフレーズが織り込まれていたり、ニクイ仕上がり。実はあの世も交えたガロの再結成作なんじゃないか、と思えてくる。



マークさんの新曲が素晴らしいことも、今後のソロ作を期待させてくれる。”虹色のラベンダー”や”アビーロードの青い空”に聴けるエヴァーグリーンなポップ・センスは天性のものとしか思えない。既にデモ音源を聴いたことがあった”Stranger In The City”と”Pale Lonely Night”はかなりアレンジが変わっていて驚いた。特にパワー・ポップ風だった後者がバラードになっていたり。



見事なジャケット・デザインも含めてコレは事件です!こうなってくると、マークやトミー(レインボーの前座を務めたというママドゥ含む)のソロ作のCD復刻にも期待したい。今後、Buzzの東郷昌和、ブレッド&バター岩沢二弓によるトリオLOVE US ALL(ラバーソウル)による活動も始まるようだし、ライブもぜひチェックして欲しい!
(2013年10月19日記)

↓リリース関連特設ページ
http://markfromgaro.web.fc2.com/