/ Hitch A Cloud ( haha productions / 2012 )
三連休も気付けば終わっていきますね…今年はまだまだ毎日暑くて。しぶとい夏でした。
先日地元三鷹でたまたまお会いしたニュージーランド出身、日本在住のミュージシャン”The Mighty Takapu”を本日は紹介しよう。バンドのようなネーミングだが10曲全ての楽曲やアクースティック・ギター中心の演奏、レコーディングはGuy Exleyの手に依るもの。”Takapu”というのは聴き慣れない言葉だが、ニュージーランドの先住民マオリ族の言葉で調べてみると”カツオドリ”を意味するらしい。カツオドリはニュージランドの海鳥で、例えばオークランドでは毎年1000匹以上が巣作りをし、大きな羽を広げた親鳥が空を舞う風景が見られるのだと言う…しかしあとあと聞いてみると、なんでもGuyの出身地は首都ウェリントン郊外のタワで、カツオドリは全くいない!らしい。ただ、幼少期に遊んだ渓谷の名前が"Takapu"で、やはりマオリの言葉に由来する地名だったらしい。しかも、その川は"Mighty"という程の流れでもなく、”The Mighty Takapuはユーモアと想像力の産物のようだ。
それでも”The Mighty Takapu”の音楽は、そんな自然の生命の力強さや瑞々しさを感じさせてくれるオーガニックなサウンドだった。アクースティック・ギターを基調とした音作りは、70年代のフォーキーなシンガー・ソングライターの近作を彷彿させるもの。所々にゲスト・ミュージシャンによるピアノやドラムス、トランペット、鳥の鳴き声といったSEが入るのだが、それも実に自然で。個人的にはランバート&ナッティカムのクレイグ・ナッティカムの90年代のソロみたいな、ほっこりしたハンドメイドのダウン・トゥ・アースなサウンドを想起した。
英語詩による楽曲が殆どである中、M-3”Hoshi”やM-4”Yanagawa”には日本語も登場して。”Hoshi”の静謐とした音作りは今作でも白眉かも。個人的にはひんやりとした感触が新鮮だったアクースティック・ロックM-7”River Belly”も印象に残った。
何だろう、こうして聴いていると、音楽を作り続けることを止めない、というミュージシャンなら当たり前のことに感動している自分がいる。音楽を「始めた」よりも「止めた」と聞くことの方が増えてきた昨今。売れる売れない、とか音楽業界を取り巻く状況が厳しくなっていることも判っているけれど。でも考えてみると、音楽を作ることは生きること。音楽をやめることは生きることをやめることとおんなじなのだ。長年音楽を作り続けてきたミュージシャンの作品には、無欲に音と向き合ってきた結果だろうか、自身の音楽と生きることが違和感なく重なり合っているのが判るのだ。これは本当に素敵なこと!
アルバムは公式HPから入手できるとのこと。一度訪れてみてはいかがだろうか。
↓公式HP
http://www.themightytakapu.com/The_Mighty_Takapu/Home.html
↓アルバムの試聴&購入は
http://themightytakapu.bandcamp.com/