いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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吉田拓郎 

markrock2012-11-24

/ 午後の天気(2012)

真心ブラザーズ
/ Keep on traveling (2012)


今日はボブ・ディランっていう共通項を持つ拓郎と真心の今年出た新作を。なんか自然体過ぎて、並べて聴きたくなって。

まず拓郎新作の冒頭”僕の道”を初めて聴いた印象。地味だなぁ〜という。生きていることにだけでも感謝しなければいけない希有なミュージシャンであるわけなんだけど、正直に言うと。体調不良でツアーをキャンセルしてから、ラジオなんかでは元気な姿が聴けたけれど、ボーカルもなんだかオケに負けているようにも思えて。でも2曲目の”昨日の雲じゃない”ではゆったりした拓郎節に通る声が響いて全く安心する。しかもはっぴいえんど鈴木茂アレンジじゃないですか!!80年代の拓郎とよく組んでいた相手。茂さんも色々あったけれど、ここでこうしてギターを弾いている。全編オブリを弾いてるんだけど、むっちゃ良いですよ。「あの空に浮かぶのは 今日の雲 それは昨日の雲じゃない」なんて、ゆく川の流れは絶えずして…の境地でしょう。病を経て今年で66だもんね…エイベックスというと色眼鏡で見てしまうけれど、ここにあるのはタイアップだなんだの音楽商売の匂いはなく、ほぼ素直な気持ちを吐露した日記。素晴らしいことですよ。昨年のNHK-BSのドラマ新撰組血風録』の主題歌”慕情”ってのも実に地味だしねぇ。エイティーズ拓郎風味なGS風”危険な関係”の方がキャッチーだったり。”おやじの唄”の続編かもしれない”清流(父へ)”はひねくれた彼もこの境地にやっと達したのか、という。久々に名前を見た銀色夏生の詩も1曲あった(”この風”)けれど、それ以外の彼の詩を聴き進めていくと忍び寄る老いの中で恋したい気持ちが伝わってきて。さらにメロディはあくまで拓郎節が押し寄せてきてグッと来る。私の2倍の年月を生きている人だけれど。ちなみに今年の都内ライブハウスツアー、叔父に頼まれてチケット取りに協力したけれど、取れずっていう。団塊前後の拓郎ファンのマスってのは半端ないな、と思う。ただ、山下達郎も観に行ったという噂の今回のツアー、観に行った感想を聞くと、うーん、だった模様。とどのつまりは客の求める往年の拓郎ナンバーを聴かせず、新作をダラダラ聴かせちゃったという。この自己満足なワガママっぷりが拓郎らしいんだけれど、そろそろお客さんを喜ばせてあげても良いんじゃないかな、という。ツッパる歳でもないでしょうし。

さて、どう考えても拓郎フォロワーなYO-KING桜井秀俊によるデュオ、真心ブラザーズ『Keep on travelingは13枚目のアルバム。13枚、もっと出しているのかと思っていた。冒頭にCHOKKAKU編曲の”胸を張れ”なんて売れるプロダクションの楽曲を配置しているけれど、たいして練られていない曲タイトルで(失礼!)19曲っていう曲数からも判るとおり二人の出来た曲を詰め込んでみました感が良い。たぶん歌詞も思ったことを書いて手直ししてないでしょ、って感じ(本当かどうかは知りませんよ…)の生成り感が実に好印象。先ほどの拓郎盤同様、ベテランにしかできない技でありましょう。キラーはNHKのひそかな人気番組0655で使われている朝の定番”朝が来た!”でしょう。ボブ・マーリーのそこまで有名でもない”Soul Captive”のカバーなんだけど、スカパラのリズム隊をバックにしてまじで良い。フォーク・デュオからスタートしたけれど、ロック、ソウルからスカっぽいリズムものまで、音楽的土壌は広くて。テンションコードっぽい桜井楽曲を、どう考えてもC G Fみたいなフォーキーなコードに載りやすいYO-KINGが無骨に歌った時にマジックが起こるのかな。何気ない詩ばかりだけど、”生きる”は筋金入りの音楽ラヴァーの歌だと思う。ミュージシャンのこういう歌を聴くとそれだけで涙が出てしまう。なんだか拓郎節な”話””のりこえるの歌”も良かったなあ。