/ DuetsⅡ( Sony / 2011 )
いよいよ大晦日を明日に控え。なんだか今年はあっという間だった。
意味もなくゴージャスな気分になりたくて、トニー・ベネット御歳85歳の新譜を聴く。2006年の前作『Duet』の続編。前作は近年のジャズ・ボーカルものとしては、屈指の当たり盤になった。ただし、コレを聴いた時点では、2001年の『With My Friends』なんかと比べると、往年のハリと艶のある歌声に翳りが見られるように思えたものだ。ビリー・ジョエルやスティーヴィー・ワンダーに引けをとるどころか食っちまう勢いだったから。
しかし今作、若手女性ボーカリストの比重が増したせいか、幾分か華やいだ印象で、ベネットの歌声もすこし艶やかに聴こえなくもないかな。気のせいかもしれないけれど。
どれも金太郎飴的な仕上がりではあったけれど、気になったのは、レディー・ガガがジャズ・シンガーばりに歌えることを軽々と証明してみせる”The Lady Is A Tramp”、そしてエイミー・ワインハウスの遺作レコーディングとなった”Body And Soul”とか。”Body And Soul”は、ベネット自身が君の歌声はダイナ・ワシントンみたいだ、と誉められたあとエイミーが歌った、なんていうトラックで、個人的にはドラッグ禍で身を滅ぼしたエイミーの歌声がビリー・ホリデイのように思えたり。
ノラ・ジョーンズとの競演ライブの出来も素晴らしかったウィリー・ネルスンとの”On The Sunny Side Of The Street”や、ソウルの女王がデビュー初期にジャズを演っていたことを思い出すアレサ・フランクリンとの”How Do You Keep The Music Playing”も素晴らしかった。
他にもフェイス・ヒル、マライア・キャリー、キャリー・アンダーウッド、ノラ・ジョーンズ、ジョン・メイヤー、シェリル・クロウ、ジョシュ・グローバン、ナタリー・コール、マイケル・ブーブレ、K.D.ラング、アンドレア・ボッチェリといった顔ぶれ。ビリー・ジョエルやポール・サイモンの傑作を生み出した名匠フィル・ラモーンによる鉄板のプロデュースで。
トニーのコロンビア期の4枚組ボックスとか、ビル・エヴァンスとの2枚の共演盤もオススメしたいところ。長生きするのは良いことだ。