/ リアリティー( 自主 / 2011 )
先日のライブイベントでご一緒したヒグチアイさんのCD。ピアノの弾き語りと、ちっちゃい体からほとばしる力強い歌声が、強烈に音楽したいことが伝わってきて、こちらもじっくりとうたに向き合いたい気持ちにさせられる。そんなシンガー・ソングライターだ。歌いたいことがあって歌を歌うって当たり前のことなんだけど、それが伝わってこない音楽も多いものだから、とっても嬉しい気持ちになってしまう。
さて、今日取り上げる『リアリティー』は、1st『ストリート ライフ』、2nd『ナリカケ』に次ぐ、今年リリースされた最新3rdミニアルバム。今のところ、ライブでの手売りがメインみたいだから、年間150本!もやっているというライブにまずは足を運んで欲しいんだけれど。
さて、全5曲。逃げ場を作らない鍵盤弾き語りを収めている。先日のライブでも印象に残った”ココロジェリーフィッシュ”は感情の起伏をポップなメロディに収斂させていて。”君とそのまま”には割とドキッとするフレーズなんかもあったり、その辺りはアルバムタイトルじゃないけど、オトナの女性のリアリティーだなと思ってしまう。卒業ものの”サクラ”や、マッチ売りの少女に譬えて、歌ってナンボなうたうたいの決意表明を聴かせてくれる”小さな願”で聴かせる芯の強さがなんとも魅力。誰もが自分を待っていてくれる家族を思い浮かべてしまうだろう”カケガエノナイモノ”には、歌い手の優しさや弱さにも感情移入してしまったり。
「ウソかホントか」というとウソが多かったり、そもそも「ホント」なんて言える確かなものはあるのだろうか?なーんて、実に生き難い世の中ではあるんだけれど、信じられる歌に出会った夜は心強い。ヒグチアイ、是非聴いてみて欲しい。