*[日本のフォーク・ロック] Fay’s
/ Retreat Music ( FORLIFE / 1981 )
最近LPを中心に買い残したものを手に入れまくっている。値下がりも著しいし。今日取り上げたのは、荒木和作が80年代初頭に結成したバンドのセカンド。荒木和作といえばトリオ/ショウボート・レーベルから1974年にリリースされた荒木和作/やまだあきらの再発CD『和作』が早すぎたパワーポップなんて惹句のもと、90年代のはっぴいえんど後追い世代に絶大な支持を集めたことで知られている。
私自身、70年代の半ばに90年代の若者とおんなじファッションと音を再現した二人組(実質荒木が主導していた音と思われる)がいたことに衝撃を受けた。80年代の大滝詠一を予期したかのようなソックリの歌声を70年代に出していたこともにわかに信じられなかった。
荒木和作はそれっきり音楽業界からは消えてしまったと思っていたので、たまたま漁っていた箱に先日コレを見つけたときは驚いた。AOR風にデザインされ、アーティストの実在性を排したバンド「フェイズ」名義で、クレジットを注意深く見なかったら気が付かなかった。メンバーは荒木和作、柳沢立生、藤巻俊夫の3人。コーラスがとてもキレイ。藤巻はマッシュルーム・レーベルでガロの制作に関わり、シングル"マミー・ブルー"を出した人物と同一と思われる。柳沢は現在レコード会社を立ち上げているようだ(http://www.angelrecords.jp/pg89.html)。
4曲の詩を森雪之丞が手がける。7曲は荒木和作の曲で、うち3曲はかつてデュオを組んでいたやまだあきら(山田明)の作詩となっている。その3曲は時代を反映してサーフ・ソングを書いている。”愛すれど恋すれど”はどうしようもなく歌謡曲なのでその筋には堪らんでしょう。、それ以外の曲はビックリするほど、『和作』の続編とも思える仕上がり!ポップス好きは必聴。コレは凄いですよ。
3曲は柳沢立生の詩曲で、”急行電車”は喫茶ロックの80年代的展開と見られる隠れ名曲!!ビーチボーイズの”Surfer Girl”を挿入した”オレンジ色の朝”も良かったし。愛奴の山崎貴生を思わせる作風。
この勢いで1980年のファースト『I Don't Like Summer』も探そうかな。