/ Eighteen with a Bullet: The Island Recordings ( Cherry Red / 2008 )
先日本屋で発見したけれど、『ラップ歌謡大百科』って面白い。噂には聴いていたけれど、手に取るのは初めて。スモール出版の大百科シリーズってんですか。他にも『日本語訳詞の洋楽カバー・おもしろ大百科』『音頭大百科』だとか、ディスクガイドのスキマ産業もここまでくるか、という。ノリとしては昭和風味の歌謡曲マニア研究本の趣き。簡素でわかりやすい作りに好感を持った。これほど濃い情報なら金を払いますよ(安いけど…380円)!
さて、今日はピート・ウィングフィールドを。1975年にイギリスで唯一のヒット曲となった”Eighteen With A Bullet ”を収録したLPはレコ屋でもよく見かける。確か私も持っていたはず。所謂一発屋と言うやつだけれど、アイランドに残した2枚のアルバムを収めたCDが出ていたとは知らなかった。
そのヒット曲”Eighteen With A Bullet ”はドゥ・ワップ風のコーラスにファルセットが乗ってくる、オールディーズな仕上がりの作。なぜか耳に残るし、何度も聴きたくなってしまう。その他の曲もファンキーかつメロウで、このヒト、いわゆるブルーアイド・ソウルな鍵盤弾きと捉えられるだろう。メロディ・メイカーとしての側面も捨て難い魅力アリ。効用感のあるポップ・ソウル”Making A Good Thing Better”などはAORファンにもソウル・ファンにもアピールするクオリティだと思う。
ピート・ウィングフィールド、調べてみると、マイク・ヴァーノンと共に70年代初頭にブルーズバンド、ジェリーブレッドを結成し、その後74年にファンクバンド、オリンピック・ランナーズで作品をリリース。このピートのソロ作にもオリンピック・ランナーズのメンバーが参加している。さらに驚いたのは、シャナナ・フォロワーなイギリスのロックンロール・リヴァイヴァル・バンド、ロッキー・シャープ&ザ・リプレイズってのがいるけれど、このプロデューサーだったのがマイク・ヴァーノン。その繋がりか、ヒットした”Rama Lama Ding Dong”には、ピート・ウィングフィールドがベース・ヴォーカルとキーボードで参加しているようだ。ドゥ・ワップ風繋がりのこのエピソードに、感動してしまう。
聴きこむと、いずれの曲もオールディーズやR&Bへの愛に貫かれている。シングル盤を夢中になって聴いていたんだろうな。45回転のスクラッチノイズに導かれた”Scratchy 45s”って曲が最高!!