/ Desert Horizon ( Capitol / 1978 )
そう言えば昨年、ノートン・バッファローが亡くなったのだった。スティーブ・ミラー・バンドのブルース・ハープ奏者として知られている彼、たくさんのセッション作品があるけれど、これは彼の2枚目のソロ・アルバムで、彼のシンガー・ソングライターとしてのボーカルも聴ける作。ジャケも地味でハーピストのインスト盤だと見られているからか、余り取り上げられないけれど、雑多ながらも曲単位では結構アタリ盤だったりする。
スタンピードというバンドを率いて、キャピトルと契約した頃。1曲目が”Echoes Of The Last Stampede”というインストなんだけど、バッファローでスタンピードというだけで、こじつけだけど、バッファロー・スプリングフィールドの幻のアルバム『Stampede』を思い出してしまうじゃないですか。さて、カントリー・ロッキンなタイトル曲の”Desert Horizon”や”Walkin’ Down To Suzy’s”を共作しているのは、当時『Livin’ On The Fault Line』にノートンの演奏が収録されたドゥービー・ブラザーズのメンバー、ジョン・マクフィー。ジョンはギターやペダル・スティール、エレクトリック・シタールなどの弦楽器で計4曲に参加している。さらに、タワー・オブ・パワー・ホーンズが参加したファンキーな”Age Old Puppet”もカッコイイ作だ。”Wasn’t It Bad Enough”は、この盤の土臭い音を予想する向きには、そう言えば1978年ってAORな時代だったなあと思い起こさせる軽快なポップ・ロック。そうそう、参加陣ではベースに自身のバンドでのリーダー作もあるジョー・シャーメイの名が見えたり。あとは”Where Has She Gone”にニコレット・ラーソンが、”Thinkin’ About You Babe”にはウィリアム・チャンプリン(シカゴ/サンズ・オブ・チャンプリンのビル・チャンプリンでしょう)とボビー・キンボール(TOTO結成前後、もしかするとS.S.フールズ時代かも)がバック・コーラスで参加している。後者は意外にライトメロウなAOR佳曲!その手のコンピではいまんとこ見たこと無いから、たぶん誰も取り上げてないんじゃないかな。てか、どうでもいいけど、AORリスナーはハード・ロックは聴けど、王道のアメリカン・ロックとかイギリスのビート・バンドものとか聴かなすぎでしょ!田中康夫のせいかもしれないけれどね。近年、評論家やリスナーのタコツボ化がヒドすぎますよ。時代がもうそういう方向ににシフトしちゃったにしても。音楽好きである以上、色々聴かないとなあと自省しつつ。そうだ!来年はプログレを掘ろうかな、なーんて。
あとはジャジーな”Hopin’ You’ll Come Back”とか、気になる曲は色々ある。ラストの自作ジャズ・バラード"Anni in the Wind"を聴いてたら、いったい何のレコード聴いてたかわからなくなりました。そういうことありません?レコ屋では安い盤!