いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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 友川カズキ 

markrock2010-12-16

/ 青いアイスピック( PSF / 2010 )


昨年くらいからどうもこの人が気になって仕方がない。気付いたら持っていなかったアルバムを10枚くらい買っていた。昨年末に高円寺で観た弾き語りライブの衝撃があったからかな。てなわけで、昨日水曜日には、友川主演のドキュメンタリー映画『花々の過失』(ヴィンセント・ムーン監督)公開記念のライブに行ってきた。アピア、知らぬ間に渋谷から学芸大学に移転してたんですな。



客席は超満員。仕方なく友川氏の目の前の地面に設置された臨時席であぐらをかく。今回は長くトリオで演奏を行っているパーカッションの石塚俊明(EX.頭脳警察)と鍵盤の永畑雅人(EX.パスカルズ)と共に。


それがそれが、凄すぎました!還暦にして怪物ですよ。3人で奏でられるフリージャズを思わせる音のカタマリに友川の絶叫が折り重なっていくあたり、これほどまでに演奏を聴いていてドキドキしたのは久しぶりだった。さらに、目の据わった友川の毒舌が面白い。その毒は政治家をはじめとした社会にも、自身にも、等しく向けられる。「歌なんて誰にでも作れる、寂しさと、怒りと、ちょっとの湿り気があれば」なんて言葉も心に残ったな。


新作『青いアイスピック』からの楽曲はほとんど歌ってくれて。公園でカラスと一緒に作った歌ばかりだそうで、アルバム用に一気呵成に仕上げた作品もあるようなんだが、なんなんでしょうこの完成度は。彼の絵と同様、一回聴いただけで覚えてしまう強烈な作品ばかりだ。政治家への怒りをにじませるタイトル曲”青いアイスピック”は昨年のライブで一節を聴いたことがあった。育ての母親の死に接して、増えつつある近しい人の死を重ね合わせた”2010、夏、オガ(お母)”はとりわけ心に迫った。友川に大きな影響を与えた能代工業バスケ部時代の恩師加藤先生が登場する”明るい耳”や競輪用語をタイトルにした”先行一車”は衝撃的。”一人ぼっちは絵描きになる”や、今回ライブで聴けなかった”どこへ出しても恥ずかしい人”も佳曲と言える。


ライブは休憩を挟む2部構成で、”無残の美”や”一切合切世も末だ”などの代表曲も網羅していて。でも、曲順は友川さんの手書き歌詞のメモが手元から見つかるか見つからないかで変わってくる型にはまらない自由なモノ。キーだって変わる訳だけど、それでも付いてくる永畑氏は凄いね。石塚氏のパーカッションも初めて生で聴いたけれど、半端無かった。レコードでだけじゃなく、生・頭脳警察も聴きに行かないとな、と思った。


そうそう、出たばかりの歌詞集『ユメは日々元気に死んでゆく』ミリオン出版)も手に入れたのだが、こちらには2006年の欧州ツアー&2010年のライブ映像、さらに独占インタビュー映像も付いた120分のDVDがセットになっていて、ボリューム満点。じっくり読んでみようかと思っている。映画も行かなきゃな。


・2009年12月のライブレポ→http://d.hatena.ne.jp/markrock/20091228
『イナカ者のカラ元気』 (2009)レビュー→http://d.hatena.ne.jp/markrock/20091224