/ hane(はね / ありがと ( mieux records / 2010 )
本日発売された、群馬発の女性シンガー・ソングライターのマキシシングル。彼女と同郷の友人から勧められたのがきっかけで耳にしたわけなのだが、実にフレッシュで素直な歌い手だな、とこれまた素直に感動してしまった。人は皆、ルーティーン・ワークのような代わり映えのしない日々を過ごしているわけだけど、そんな日常のつかの間、ひとまず息を大きく吸って、そして吐いてみよう…と、そんな心の余裕を与えてくれる唄だと思う。なにしろその唄声は「生きてて良かった!」という喜びに充ち充ちているのだから。きっと高橋李枝という人は、太陽のエネルギーをたっぷりと吸い込んで、温かい空気で周囲を包みこんでくれる、そんな人じゃないかな。
前向きな気持ちにさせてくれるドラマティックなバラード曲“hane”、ちょっとジャジーで大人っぽいニュアンスも感じさせるアレンジの”ありがと”(デビュー曲のセルフカバー)の2曲を収録。ソフトな語り口ながら、ライブではまた違った力強い側面を聴かせてくれるのではないか、と想像させる不思議な魅力に溢れている。
ちなみに”hane”は映画『タイムマシーンカー』(太田商工会議所青年部・ファイト映画制作実行委員会制作・藤橋誠監督)の主題歌にも選ばれているとのこと。制作はもちろん、アレンジを務める黒澤健も出身が群馬ということで、この盤、純血統書付きのグン馬ナリ。日本に活力がなくなったと言われて久しいけれど、イキの良いローカル・シーンにはもっと注目すべきだと思う。
音楽制作の現場もけっして東京一極集中ではなくなってきて、小さなアパートの一室でも世界中を踊らせたり、泣かせたりすることが可能になってきた。群馬から世界へ、そんなことも不可能ではないかもしれない。