いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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『日本教育新聞』2019年3月18日 都筑 学(中央大学教授)「先哲から学ぶ人生の知恵」
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 Fistful of Mercy

markrock2010-10-15

/ As I Call You Down ( HOT Records / 2010 )


けっして作り込まれた感じはしない。裏ジャケの通り、ラフなセッションという感じ。でもこの生々しい感じがとても良いんだ。彼ら3人の新たな音楽の創造に対する喜びが伝わってくる。メンバーはジョージ・ハリスンの息子、と言われてしまうのは致し方ないダーニ・ハリスン(なにしろジョージにソックリなのだから)、シンガー・ソングライター&ギタリストとして不動の地位にあるベン・ハーパー、そしてジョセフ・アーサーという3人だ。出来立てほやほやのデビュー・アルバム。


消え入りそうなアクースティック・ギターを中心とした揺らぎのあるサウンドに3人のボーカルが載る。CSN的と言ってしまうのは簡単だけれど、3者の個性がそれほど分かり易く自己主張しているようにも聴こえない。注目のダーニも流石にメインは張れないな、という青さだし。でもその青さみたいなモノが全体を通した魅力かもしれない。以前、マシュー・スウィート、ショーン・マリンズ、ピート・ドロージっていう3人のソングライターが組んだザ・ソーンズってのがあったけれど、これは作り込まれた分かり易いポップさがあった。それでも、儚げな浮遊感になんともちょっと、似た感じを覚えた。


YouTubeで見たけれど、”Father’s Son”ってのがバリバリ、ブルーズしている作で、ある種ベン・ハーパーの独壇場の音だけれど、ダーニのボーカルはジョージっぽいなとも思ったり。時折ひねくれた展開をする辺りが、ジョージっぽさを出した部分だろう。ダーニ本人は意図していなくても、他のメンバーがそこを引き出した可能性は大いにある。


歌詞はこれまた東洋的でありまして、シンプルな言葉に奥行きを持たせている感じ。格言めいた言葉が多く出てくるあたり、ダーニの趣味かなと思ってしまう。たとえばタイトル曲は、不可分の関係にある二人は、相手を見てコントロールすることが出来ても、自分の内面を見てコントロールすることはできないものだ、と歌っている。


また別に、バンド名をタイトルにした”Fistful of Mercy”って曲があるけれど、これは「一握りの慈悲」ってな意味なのかな。人生の危機に際して、それを救ってくれる「一握りの慈悲」は枯れ果てた自分の心の中にあるんだ、と希望を持たせて結んでいる。全体的に、内省を促す言葉が並んでいて宗教的にすら感じられた。


曲によってはセッションの中から浮かび上がった言葉を記していったような楽曲もあるのかな、と推測するけれども。ちなみにドラムスが入った曲では百戦錬磨のジム・ケルトナーが参加。それにしても、ジョージに生き写しだ。下はポールと一緒に写っている写真だけれど。


ポールの息子、これまた激似のジェイムス・マッカートニーもEPのリリースが決まっていて、ビートルズ関連の需要を見込んだ便乗に精が出ている。視聴した限りあんまり個性を感じないが。
http://www.jamesmccartney.com/index.php