/ The Ghost Of You And Me ( Ennismore Records / 2009 )
コリン・ブランストーン&ロッド・アージェントのライブを見に行ったのはもういつ頃になるだろう。8年くらい前だったか。吉祥寺のスターパインズに来たのだった。ジム・ロッドフォードもね。
さて、一時期のコリン熱は冷めつつあるけれど、今ももっとも好きなタイプのヴォーカリストであることは間違いない。それでも、オデッセイ&オラクルの再現コンサートなんてのは、スマイル再現のブライアンみたいなノリで飛びつくこともせず、今日に至っていた。再編ゾンビーズ盤『As Far As I Can See』も買ったはずだけど、全然覚えていない。3枚のオリジナルアルバムを収めた『Original Album Classics』だけは今年1500円くらいだったので買ったりはしましたが。LPより手軽に聴けるし。
で、これまた買い損ねていた昨年リリースのニューアルバム。これ、かなり良いじゃないですか!最近色々出過ぎて不感症になっていたと気づかされる…情けない。エニスモア・レコードっていう名前も良いですね。
さて、前半は90年代の名作『Echo Bridge』を思わせるアダルト・コンテンポラリーな楽曲が並ぶ。個人的にはそっちもツボなので楽しめた。タイトル曲は元フィフス・アヴェニュー・バンドのジョン・リンドとヒットメイカーのリチャード・ペイジの作。”Follow”はビリー・スタインバーグとブライアン・アダムスの共作。マーティン・ペイジとバーニー・トーピンの共作”Dance With Life (The Brilliant Light)”はカナリ良い曲ながら、リズムマシーンなのかなんなのか、花火の音みたいなノイズが聞こえるのが惜しい。そしてそして、”Second Avenue”。コレはダリル・ホールとガリヴァーを結成していたティム・ムーア一世一代の名バラードで、アート・ガーファンクルがシングル・リリースしていたことで知られている。むちゃくちゃ良い曲。『Echo Bridge』でもアート・ガーファンクルの”Breakaway”(ギャラガー&ライル作)をカバーしていたけれど、吐息系の歌声に近しいものを感じたプロデューサーの判断だろうか。でも、これってコリン自身はどう受け止めて居るんだろう。アートの傀儡と思われるのもつまらないしね。
さて、ここから先の6曲は別のアルバムだと思って聴くのが良いのだが、『One Year』を再現するクリストファー・ガニングのアレンジ&指揮の弦アレンジの楽曲が並ぶ。これが実に趣味の良い音。『Journey』収録曲のセルフカバーである”Beginning / Keep The Curtains Closed Today”が聴けるとは思わなかった。全くそのミスティな歌声に衰えがないのが驚き!気品に溢れた”Any Other Way”や"Now I Know I'll Never Get Over You"がお気に入り。
ジャケがまた渋い。秋の肌寒さを感じられるようになってきた今からの季節にピッタリかな、と。