いしうらまさゆき の愛すべき音楽よ。シンガー・ソングライター、音楽雑文家によるCD&レコードレビュー

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 Maroon 5

markrock2010-09-20

/ Hands All Over ( Universal / 2010 )



マルーン5の3枚目の新作。今月15日に日本盤が出たけれど、今回はボートラにそこそこ目立つモノがあったからそちらを購入。過去2枚が1500万枚売れているってのも凄いですな。立派なアルバム・アーティストだと思う。今回も出来がとにかく良いものだから!間違いなく最高傑作。


さて、今作のプロデューサーは本人からラブ・コールのあったロバート・ジョン“マット”・ラング。個人的にはブライアン・アダムスで耳馴染みな音なんだけれど。他にもAC/DCやらシャナイア・トゥエインで知られているトップ・プロデューサーだ。


やっぱりドツボだったのはシングルが切られている”Misery”かな。とてもエイティーズのテイストを感じさせる楽曲。ボーカルのアダム・レヴィンが女の子に殴られたり、ひどい仕打ちを受け続ける衝撃的なプロモも良かったけれど。Em-Am-D-Gなんてコード進行がまた良いじゃないですか。個人的にはアバのアグネッタが1987年に小ヒットさせた”Let It Shine”(ビル・ラバウンティがソングライティングに加わっている)を思い出したな。同じコード進行だし。


コード進行で思い出したけれど、去年くらいからアメリカのチャートを見てみると、ヒットしている曲はみんな同じコード進行だったりしますよ。キーCで言うところのF-C-G-Amという定番のリピート。ジェイスン・デルーロ”Whatcha Say”だとか、ケイシャの”Tik Tok”だとか、アウル・シティの”Fireflies”とかね。レディー・ガガの”Alejandro”もそうかな。ま、今に始まった進行ではないけれど。


さて、話を戻すとこのマルーン5の新作、カントリー界の新星レイディ・アンテベラムとの共演(”Out Of Goodbyes”)という話題性もある。結構ポップ・カントリーな音をこうしてやっちゃう所もフトコロの広さを感じたな。”Don’t Know Nothing”はあの”I Heard It Through The Grapevine”を聴き取ったり、モロにモータウンしている”I Can’t Lie”があったり。”How”には先日新作を取り上げたフィル・コリンズを思わせる、ポップ・ソウルを感じたり。頭打ちのパーティソングみたいのが入ってるのはしょうがないけれど、楽曲の完成度は抜群に高い。バラード”Just A Feeling”もキたなあ。


で、ボーナストラックでは”Misery”のデモと思しきテイクがあったり。コレを聴くと、アレンジで作り込む過程が見て取れる。でも、アクースティックでこれだけ聴ける曲だから、自ずとヒットしたんだろうな。ライブやボートラ扱いだけど、アリシア・キーズの”If Ain’t Got You”(アダムの歌、上手いですわ)やクイーンの”Crazy Little Thing Called Love”も演っちゃう所が凄いね。伝統と新風をミックスさせつつ、良質のポップスを守っている好バンド!これからも応援します。