/ ロックンロール、やってます ( ブリッジ / 2010 )
今年の夏は猛烈に暑い。ただ立っているだけで意識が朦朧としてしまうほどだ。それでも足を運びたくなるライブがあるもので。「きちじょうじのなつやすみ」というフリー・ライブイベント。いせやも建て替えられたし、高田渡が健在だった頃を思うと大分様変わりした印象がある吉祥寺。伊勢丹が潰れて、ユザワヤのビルが立て替え工事になって、ロンロンは改装…そんな街を盛り上げようってな企画なのかな。泉谷しげるが中心になって、斉藤哲夫、ブレッド&バター、杉真理&村田和人、加奈崎芳太郎、かせきさいだぁ、木根尚登、浦沢直樹、坂本サトルなどなど色々出るらしい。初日の泉谷&浜崎貴司も観たけれど、暑い中、倒れんばかりに泉谷がキヨシローの曲ばかりがなっていて…ただでさえ熱いのに、凄まじい熱気だったなあ。“春夏秋冬”もとても良かったし、エリック・アンダーソン(というか中川五郎や加藤和彦も演っていた)”おいでよ僕のベッドに”の即興レゲエな演奏も良かった。
今日は友部正人と三宅伸治だ。今年の2月に2人のライブを収めた『ロックンロール、やってます』が出た。生演奏を聴くのは今日が初めてだ。2人のギターの音色とそれに寄り添う歌声はとても美しかった。お互いを尊敬している音なのだろう。”はじめぼくはひとりだった”、”大阪へやって来た”、”ぼくは君を探しに来たんだ”、ラストの”一本道”…なんてきれいなんだろう、と素直に感動してしまった。
そして”Like A Rolling Stone”。ボブ・ディランのマスターピースを日本語で歌っていた。今日、この曲が聴けるんじゃないかと思って、友部さんが昔ボブ・ディランの曲について書いた本『The Man In Me ぼくのなかのディラン』を読みながら行ったのだった。
終演後、友部さんと初めてお話しさせてもらった。“友部さんがLike A Rolling Stoneを歌うなんてびっくりしました”とそんなことを言ったら、 “ぼくが歌うきっかけになった曲だからね”とそんな風に笑って答えてくれた。“でも、歌ってくれてとても嬉しかったです”と言うのが精一杯だったのだけれど、孤高の存在に見えた友部さんが、自身のルーツを素直に表現してくれたことに、深い感動を覚えた。友部さんが歌う動機になった”Like A Rolling Stone”、比べるのはおこがましいことだけれど、自分にとっても人生を変える1曲になった。まだまだ、ロックンロールに狂っている。
http://www.city.musashino.lg.jp/cms/event/00/01/45/00014555.html